日テレ制作です。偏見ですがテレビ会社が作った映画はデート用です。話はちゃんとハッピーエンドでまとまることは信用できますが、すごく面白いかは別だと思っています。こなれた人たちだと平均点は出せるけど、爆発力はなくなっているっていうか。
、、、と思いながら見てたんですが、面白かったです。
あ、デート用映画には違いないです。
スタッフロールの中にラインプロデューサーって肩書を見つけました。前にweb担当とかブログ担当とか見たことあるけど、最近はラインをちゃんとフォローしないといけないのね。大変だなぁ。
※本作「あやしい彼女」は韓国で制作された「怪しい彼女」のリメイクです。中国、ベトナム、日本でリメイク版が製作されました。タイ、インドネシア、インド、ドイツでもリメイク計画中。
映画『あやしい彼女』のポイント
- 大鳥節子(多部未華子さん)の中に見える瀬山カツ(倍賞美津子さん)の姿。
- ローマの休日をベースにして、全く違う話を作っています。
- 大鳥節子(多部未華子さん)と小林拓人(要潤さん)が語りあうシーンが言いたいことかな?
では、あやしい彼女のネタバレ感想です。
映画『あやしい彼女』は大鳥節子(多部未華子さん)の説得力。
瀬山カツ(倍賞美津子さん)は町内の鼻つまみ者で、家庭内でも愚痴ばかり。娘の幸恵(小林聡美さん)や孫の翼(北村匠海さん)としっくりいっていない。
幸恵と大喧嘩した夜、カツは不思議な写真館を見つけた。
確かに大鳥節子(多部未華子さん)は瀬山カツ(倍賞美津子さん)でした。なんだあの説教の説得力は。デパートで子供と母親をあやすシーンは後のシーンにもつながっているように見えませんでしたが、節子の年長者としての説得力を見せたいいシーンでした。
ローマの休日
脚本を書いた方がローマの休日が好きなのがよくわかりました。私が気付いた一番小さなこだわりは、節子の歌声を聞いた小林拓人(要潤さん)がのど自慢大会の会場前で立ち止まった時、階段に座ってアイスクリームを食べてました。確かアン王女も階段でアイスクリーム食べたよなぁ。
それとのど自慢会場のくじ引きボックスが真実の口だったことと、そこから節子の手が抜けないとふざけたこと*1
次郎のスクーターがベスパだったのはわかりやすいよね。
分かりやすいのは私が日本映画が好きなだけか、甘やかされているからなのか。
下の内容を書いて、あやしい彼女が韓国制作映画のリメイクと知りました。あちゃー、、、、、展開した理屈の根本が間違ってる気がする。。。。
最近、わかりやすくない映画*2が多かったので、あやしい彼女の分かりやすさにおびえました。
ひょっとして日本映画って観客に優しすぎる?
コメディの違いだと分かりやすいんですが、海外だとコメディはボケると観客が笑います。
日本だとボケてツッコミが入って観客が笑います。”ここ笑うところですよ”と教えてもらっているんです。
ラジオで聞いたんですが*3、ボケ&ツッコミというスタイルはお笑いの舞台でマイクしかない状態だからこそ必要な説明なんです。映画やコメディなら、ほかに説明する道具や装置があり状況は観客に伝わってますからツッコミは必要ありません。でも日本ではお笑いステージ以外でもツッコミを挟みます。それは過剰説明になります。
「おもてなし」に代表されるように、日本人は相手のことを考えすぎ?
とりあえず、私は日本人だから日本映画が分かりやすいってことにしておこう。
家族誰一人として感情移入できない。ちょっと私の好みと違った部分。
カツ・幸恵・翼。最初は三世代だれにも感情移入できませんでした。たまにカツの言っていることが自分に近いと思っても、すぐにやっぱ違うと思ったりね。
翼や幸恵がカツをどんなふうに思っているかを節子が聞いて驚いたり説教したりする方が私の好みでした。
冒頭で不協和音のある家族がきれいに描かれていたからこそ、自分の好みの展開にならなかったのを勝手に残念に思いました。
展開が分かったけど超えてきた
翼がはねられた瞬間、輸血で老化するんだろうことはわかりました。
だけど、病院での親子の会話は感動でした。
私が切り替えた瞬間
信頼の平均点映画と思ってました。しかしランクが違うんじゃないかなと思い始めてしっかり切り替えたのはステージで節子が歌った時です。
びっくりすることにそこがyoutubeに上がってました。(カツの思い出シーンは切ってあります)
節子の奥に カツの人生が見える演出が素晴らしかったです。その深い演出に負けない多部未華子さんの歌唱力。
本作の名シーンです。
名曲と新曲。
歌のシーンとしては上のシーンがピークです。
クライマックスに新曲が歌われますが、、、、。
やっぱ古い曲が今も歌われるってことは、その歌は残ってきた名曲ってことです。
新曲と言っても、その名曲を超えるパワーを持つのはなかなか難しいです。
あやしい彼女も新曲はよくある最近の流行曲に感じてしまいました。演出も相まって「悲しくてやりきれない」のほうが素晴らしかったです。
この映画も、最後の新曲が、中盤で歌っていた名曲を超えられませんでした。
映画『あやしい彼女』の感想まとめ
- 多部未華子さんの老獪な説得力の見事さ
- 名シーン1.「悲しくてやりきれない」を歌っているときの演出と多部未華子さんの歌唱力
- 名シーン2.小林拓人(要潤さん)が語りあうシーン。もろデートしているカップルのためのシーンです。”いい時代に生まれたんだから、思うように生きろ!恋をしろ!”。好きなシーンです。
映画『あやしい彼女』の評判
警察署の後ろにサルサダンサーがいたのもローマの休日のオマージュらしいです。
概ね好評。ただ、いくつかの部分で弱いところがあり、そこに引っかかっちゃうと一気に全てがだめになっちゃうみたいです。私はカツや節子のパワーに持っていかれてスルーできました。
韓国の「怪しい彼女」を見た人はそっちの方がいいという人多数。やっぱオリジナルにはかなわないですかね。
多部ちゃんの「悲しくてやりきれない」「見上げてごらん夜の星を」「 真赤な太陽」「帰り道」が試聴できますよ