罪の余白 - 作品情報
作品情報
- キャスト:内野聖陽さん 吉本実憂さん 谷村美月さん
- 監督:大塚祐吉さん
- 脚本:大塚祐吉さん
- 公開日:2015.10.03
- ジャンル:社会の裏側・犯罪・裏社会
- 上演時間:112分
- レーティング:なし
公式HP
※なくなってました。
告知PV
物語の導入部分を見てスクールカーストの話かと思いましたがそうじゃないね。
咲がきれいだったね。
ミッション系の制服をきれいに着こなしていたし、大人っぽい私服も背伸びして着ているんじゃなくて完全に自分のものとしていて制服とは違うきれいさがありました。
もしシナリオに納得できなくても吉本実憂さんのPVとして満足できる映像でした。
偽名で会いに行ったのが聡にバレたのに平然としていられる咲がすごい。それを無理があると感じさせない演出と演技力がすごい
さて、ネタバレです。
序盤は咲に感情移入
最初はなぜだか聡より咲に感情移入してました。魅力的で自分にない価値感の人を深彫りしてくれているから楽しいんだよね。このころ一番思っていたのは「咲は真帆を抱えて大変そうだな。殺したりしないだろうな」でした。聡の苦悩よりも毅然とした咲がどうやって立ち回るかのほうがわくわくしたんだよね。
咲が安藤家で聡と面会したときは、咲の聡明さと狡猾さを知らなければ、「友達の命がなくなり、原因をはっきりさせなくてはいけない。加奈のことを見てなければいけなかったのは誰だった?」と物事に対して白黒はっきりつけなくちゃいけないという高校生らしい若い二元論に聞こえます。観覧者は咲がそんな潔癖な学級委員的な論理じゃないことを知ってますから、咲に対してそこはかとない恐ろしさを感じますね。
咲の一言で加奈のノーパソのパスワードが解けちゃいました。余計なこと言った?いや、あのパスワードなら聡はたどり着いたでしょうね。
咲の武器・私の意識が聡目線に変わった瞬間
ダブルバインド。はっきりといいきらず、相手が自分の内面と話すようなことを投げつけて自省を促してがんじがらめにする。小説なら聡による注釈が入ってるのかな。
色々検索して、一番このサイトが咲の使ってた武器を説明してました。
第三禁止令。ようするにネチネチいってくるパワパラ上司?
早苗ちゃん悔しかったね。このシーンだけ切り出せば、自分の価値感を信じて疑わない女子高生が、薄い価値感に任せて大人をなじっているシーンなんですが、そうじゃなく、咲のマウンティングが完了したことがひしひしと感じました。
「処女が!」といわれて言い返せませんでした。実際はどうか分からないけど、経験が少ないのは間違いないっぽいから、否定しても泥沼でしたね。
今思おうとこのあたりが転換期ですね。私はこのあたりで咲目線ではなく、聡目線に切り替わった気がする。
私の意識がはっきりと変わったのは次のシーンの酒を捨てるところですが、早苗がコテンパンにされたことで意識を移動させやすかったです。
咲が早苗に言ってたことが私にもきっちり刺さりましたorz。今からでも洋服買って自己プロデュース始めるかなぁ....
咲が加奈に冷たくなった理由
現実の高校で言えば理由なんかありません。むかつくからではなく、意地悪しても抵抗しないと認定しただけでいじめが始まります。けど今回は些細だけど理由がありますね。
一言で言えば加奈が咲の弱いところに触ったからです。
咲は加奈に女優になるという夢を語ります。咲としては「すごーい!咲ならなれるよ!」と持ち上げてくれればよかったんです。けど、加奈は具体的に動いているのかを聞いてしまいました。そのころは妄想と口先だけで何もしてなかった咲。加奈の質問に答えを窮し、言い返せないことは咲のプライドを深く傷つけました。
そういえば街角に立っていた咲がもらった名刺を捨ててました。小さなプロダクションのスカウトからもらった名刺かな?
物語上の真帆の不安定さ
映画を見ていたときに私が怖がっていたのは真帆(宇野愛海さん)の不安定さです。悟に真帆を攻められて咲の牙城が切り崩されていく展開はいやだったんですよね。それじゃ想像つくしツマンないし。だから、真帆は物語の前半で咲に殺されると思ってました。
真帆は咲の不安要素以上の働きはせずに、聡と対峙したのは一回だけでした。大して機能せずに咲の不安要素として存在するだけの真帆。その立ち位置がすごく良かったです。
活躍したのは最後の最後。咲に百合的な感情を持っていて一番の存在だったはずなのに、咲のほうはそうでもない。それを知ったとき(女優の夢を加奈にだけ話してたと知った)失禁しちゃうほどのショックを受けてました。真帆の”咲を加奈にとられちゃうからシカトする!”という勘はひょっとしたら的中してたのかもね
咲の芸能活動
芸能事務所の面接でこれまで通用してきた高飛車を全部潰されました。泣いちゃった。それでも胸を張って顔を上げている気高さがあったけどね。
咲を完膚なきまでにこてんぱんにしたのが、突然出てきて二度と出てこないヤツだったってのは悔しいね。(本来の聡なら咲をきれいに論破して、導くことさえできると思うんだけど、復讐鬼になってたからなぁ)
芸能界は咲にとって、簡単に女王になれない場所。さくっと王座を取れた学校と違って全力を出せる場所だった?(こんな殊勝な考え方時やないかもしれないけど、咲にとって自分を試せる場所だったのかもね)
女優としての成功。最後はそれが咲の穴になりました。
芸能事務所の濃いキャラのマネージャーを演じた加藤雅也さん
ラストはどこまで計算どおり?
心理学を利用した復讐だと思います。以下は罪の余白クライマックスの時系列。
青は追記。まず、大前提として聡は加奈に会いに行くつもりだったんじゃないかな。だから咲を殺して連れて行く気はなかった。加奈との再会をジャマされそうなので、咲のことは警察に任せるつもりでした。
- 学校に入り込み、咲を教室に呼び出して大声で叫ぶ。
相手のテリトリーに行って、相手が不利になるようなことをして真理的に追い詰める(闇金の回収方法と一緒)
ひょっとしてここで落とされようとして失敗したかな? - 早苗にノーパソを預ける
これがボンネットに落ちて助かるための布石ならもはや心理学ではなく別の何かだと思うんだけどなぁ。←ちがうね、たぶん第一発見者にする予定だったんじゃないかな。こんだけ心配させれば今夜うちに来ることは容易に想像つきます。 - 咲と真帆を呼び出し、咲の提案でベランダへ。
咲の狡猾さを理解しているので、室内ではなくベランダに誘導されることは計算してたと思う。っていうか、私が咲の立場ならファミレスを指定すると思うんだけどね。 - 咲を揺さぶりをかけ、少しだけ冷静さを失わせる
頭のいい咲が一瞬だけ見せた隙「あんなことになるとは思わなかった」(だっけ?)。加奈の死亡にかかわったような言葉ですが、いつもの咲ならこんな決定的なことは言わないし、落ち着けば、ごまかしきれる言葉。 - ベランダのヘリに寄りかかり、録音していた(ふり?)スマフォを見せる
早苗の車が来たことを確認。そろそろ死ぬことにする。
渾身の一言「マスコミに流す」。ここで自分を突き落としに来た咲を撮影。警察を動かす決定打ですね。 - 咲に叩き落される
渾身の一言は咲の女優への道を断つことなので、咲が初めて逆上する。いや逆上させることに成功する。 - 早苗の車の上に落ちて一命を取り留める
車の上に落ちるために2で早苗にノーパソを渡して心配させ、様子を観にこさせたのなら、もはや心理学とは違う別の学問だと思う。
2は第一発見者にするつもりだった。死ぬはずだったんだが、早苗が駐車にもたついていたので助かってしまう
少年院行きの直接要因は聡を突き落としたことですね。加奈のことまでたどり着けたかは分からないですね。
弱点が夢というところが高校生っぽい咲でした。
細かいところ
- 笹川さん大活躍
咲が名前を借りた笹川さん。ちょいキャラだと思ったのに中盤は彼女の独壇場でしたw。咲とは違う頭のよさがあり、咲と対峙しても「退かぬ!媚びぬ!」ができる人。でも高校生らしい善悪しかない二元論をもってそうな人でした。
私が同級生なら咲にも笹川さんにも相手にされなかったろうな.....。
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- 芸能事務所の場所
咲が芸能事務所に行くときに県庁行きの電車に乗ります。映画の冒頭で「千葉県警」って書いてあるパトカーを見かけたので千葉在住。ってことは千葉市にある芸能事務所?
咲ちゃん、そこはそんなの大手じゃなくない?、、、、と思ったけど、学校の前が海ってことは外房なのかな?
外房から県庁のある千葉市で乗り換えて東京に行ったってことにしよう。 - 早苗の料理
まずいの?聡に食欲ないだけってのを信じてるんだけど、、、、。
食事といえば、加奈のサンドイッチから虫が出てきたらしいけど、持参したサンドイッチに虫を入れるなんて手間の方が面どくさそうと思った。 - 青い熱帯魚
聡にとって加奈の死の真相にこだわっていた象徴であり、最後は、病院の水槽に放すことでこだわりから開放されたことを描写しました。あの熱帯魚は闘魚であり、”性格はとりあえず喧嘩を売る”という恐るべき熱帯魚です。
そんな狭いところに入れたら、他の熱帯魚を殺しまくって迷惑すぎませんか?
- エンディングはどうにかならなかったの?
本編とまったくそぐわないエンディングデーマ。苦肉の策なのか、本編とエンディングの間に一曲挟んでました。静止画なんですが 吉本実憂さんがめちゃくちゃきれいです! - 原作はもうちょっと学校よりらしい
映画としては舞台装置としてスクールカーストを使っただけで、メインは聡と咲の動向ですが、原作はもうちょっとスクールカーストを深堀しているみたいです。加奈ちゃんがベランダのヘリに立つまでの経緯や笹川さんの教室での扱われ方が細かく描かれているのかな?
みんなの「罪の余白」の評価
星的にはそんなに高くない。
ラストが弱すぎるという意見が多い。私もどうやってまとめるのかなーと思ってたんですが、それほどすっきりするラストじゃなかったかもね。ま、咲の夢をつぶしたってことで完遂にしましょう。
私としては満足する映画でしたよ。
学園もの・スクールカーストの話として捕らえている人も少なからずいらっしゃいました。私も冒頭はそう思いましたが、全体を見ると要素としては薄い気がします。
和気藹々とした試写会挨拶。 吉本実憂さんが年相応のいい子っぽいですが、それは咲のなりたかった姿であり、これが咲の計算ずくの自己演出だったら、、、、(笑)
内野聖陽、吉本実憂の“悪女”っぷりに「怖い高校生」映画「罪の余白」完成披露試写会1 - YouTube
スクールカーストの話
まったく関係ありませんが、帰ってきたらゴッドタンをやってて中島愛里さんが出てて、容赦のない毒舌を吐きまくってました。
その姿になんとなく咲を重ねてしまいました。
追記:罪の余白のDVDが発売されたので思い出してみました。
やっぱり思い出すのは吉本実憂さんが”美人”だったこと。
内容的には、天性で悪魔的な頭の良さを持つ高校生と理屈ですべてを制御している大学教授の正面対決を見てみたかった。聡が咲の正体(娘の仇ってことではなく狡猾さってことね)に気付いていることに咲が気づいてないままのクライマックスだったのは残念だったかなぁ。ま、咲はそこに価値を認めてないから逃げるだろうけどね。
2016/10/10 追記。一年たって 吉本実憂さんが咲に思うこと
その他
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監督:-大塚祐吉さん-
脚本:-大塚祐吉さん-
俳優:-内野聖陽さん- -吉本実憂さん- -谷村美月さん- -葵わかなさん- -宇野愛海さん- -吉田美佳子さん- -堀部圭亮さん- -利重剛さん- -加藤雅也さん- -武田玲奈さん-
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俳優さん別リンク
木場咲 - 吉本実憂さん出演作品
小沢早苗 - 谷村美月さん出演作品
笹川七緒 - 葵わかなさん出演作品
高山満 - 加藤雅也さん出演作品
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