こんばんわ。フレデリカです。
五月も中盤を過ぎました。覚えてます?GWが先々週のことだったんですよ。
フジテレビ制作なのにデート向きじゃない
テレビ会社製作の映画はすべてデート向きで、善かれあしかれ薄っぺらいと思ってたのに、この映画は深く静かです。
はっきりとしたど派手なクライマックスシーンはありません。
映画『海よりもまだ深く』のポイント
- R40。それ以上で良太(阿部寛さん)が理解できなければ、ちょっと人生を振り返ってみよう
- R40未満は樹木希林のかわいさをめでてください。
- 大人を仕上がった人間の集まりと思ってるうちはみなくていいです。大人も変わります。悩みます。怒られます。
映画『海よりもまだ深く』の仕切り線
えらく静かな映画です。日常の中で大人の深いところに入っていくので、わからない人も多いと思う。
ちょっと考えました。見るときに冒頭に以下のシーンが出てくるのでそこで判断できるかもしれません
- みかんの木が大きくなって、芋虫が蝶になった。その写真があるので後で見せたい。
- 淑子(樹木希林さん)が良多(阿部寛さん)と公園を歩いている時に話すちょうちょがついてきた時の話
これを伏線に話が広がるわけでもありません。そして良多(阿部寛さん)としてはどうでもいいです。それを良多はうんうんと聞いています。
このシーンを”つまらない話で尺を埋めるんじゃない”とか”無意味なシーン”とか思うかもしれません。そういった若い方はそのあとの良多には感情移入できないと思います。なので淑子(樹木希林さん)に軸に見てください。淑子のほうが理解しやすいと思うので。
物語としてはこのyoutubeで全部です。しかし深く深く考えさせられます。
では、映画『海よりもまだ深く』のネタバレ感想です。
映画『海よりもまだ深く』は
阿部寛は小説で生計を立てたい山師。それは父と同じ考え方だった。そして母や別れた嫁や子供にいいかっこがしたかった
各シーンで、そのシーンのまとめのセリフが入っているので、自分の中で理解ができれば、必ずまとめセリフのフックに引っかかります。ですのでテーマはすごく整理しやすいです。
良多のあがき方、特に淑子に対する配慮の仕方を理解できる自分は、年相応の経験を積み重ねることができているような気がしました。
母親は甘えていい対象ではなく、しっかりした自分を見せる対象です。
去年、一張羅を買いました。その理由は親と旅行に行くからです。外でちゃんとやってると知らせるためです。去年で一番気を張った二日間でした。
家に帰ってきたときにおふくろが言ってた「要望言って、誰かについて行ったらたどり着いて、帰ってこれるんだから楽になったもんだ」は合格点をもらえたものと信じてます。
元嫁への執着は、、、、わかる気がするんですが、未婚の私が何を言っても絵空事なのでやめときます、、、、。(親が一番見たいものなのはわかってますがなかなかうまくいかん)
姉に頭を下げる
親に対する配慮の一方で兄弟は配慮のいらない存在です。
上記の旅行は、母が言い出したものであり母がお金(30万円)を出すということになってました。
それを聞いた正直な私の計算です。実家住まいの弟(未婚)が一人います。
さて、いくら出そう?全部出すと母の面目が立たないから、弟と10万ずつ出して、母には10万だけ出してもらうか。今月ちょっと厳しいし。
旅行先で二人きりになったときに弟に言われました。
弟「(実家にいるから)俺は15万だせるけど、、、、(外に出た兄貴は)大丈夫?」
(てめえ!なめるんな!! 15万か、、、く、、、、うああああああ!!)
私「りょーかい、んじゃ15万ずつな」(平然と)
最初に母から預かった旅費の30万円。5万円以上残っていました。そこに30万円追加して戻してやったわ!!
私も良多のように頭下げちゃうべきだったかなぁ。年長で男のプライドとしてどうしてもできなかったよ。
元嫁の彼氏の前向きということダメ男の居心地のよさ
真悟(吉澤太陽さん)を中心にするとわかりやすいのですが、響子(真木よう子さん)の彼氏は、前向きなことばっかり言ってます。立派な父親ができることと響子にアピールしたいんだろうけど、真悟としては窮屈だったろうね。見ている私も”あんたはそうやって向上心強めで生きてきたんだろうけどさ”と冷ややかになってしまいました。
あいつは台風の中を、わざわざ公園の滑り台に行ってビバークしたりしないだろうな。だって無意味だもん。
無意味でも楽しいならやってみる。そっちのほうが居心地いいよね。
真木よう子さん主演
彼氏との対比があったので響子は良多を選びなおすかと思いました。台風の日に結ばれることはないだろうけど、少なくとも彼氏と別れる決意をするぐらいの描写があるかと思いましたが、それもなかった。レストランでは良多の肩を持っていたから期待したけどね。やり直しても同じことの繰り返しになることに気付いているのでしょう。
良多と話をする淑子
親としての淑子。わがままも言うし、心配もしているし、言いたいこともずけずけ言う。
全然関係ないけど”淑子”がおばあちゃんの名前として私はしっくり来てました。なんでか分かった。西原理恵子さんのお母さんの名前だ
孫から本心を聞いたときの淑子
名演技でした。みんなで一緒に住みたいって言われた時の顔。まだ喜んじゃダメなんだけど、うれしすぎて目を真っ赤にしながら涙をこらえる。
熱演でした。
息子の元嫁から聞いたときの淑子
この人がうなずいてくれれば、一緒の暮らせる!半分使命感を持って話し始めました。でも押し付けるようなことはしません。それが切ない。
良多さんは家庭向きではない。その言葉に響子の強い意志を感じたのでしょう。「ごめんなさいごめんなさい、この話はもう終わり」が悲しすぎました。そして孫のへその緒を渡しました。
こういう風に書いちゃうと響子が悪者になっちゃうな。もちろん響子も良多に離婚の全責任を押し付ける気はない。
そういうこっちゃないんですよね。お互いの気持ちが同じ方向に向かっていなければ寄り添うのは難しいって話なんですが、、、、
自分の気持ちを話した淑子も、それがわかったからこそちゃんと自分の気持ちを話した響子も誠意があったと思います。
こちらも複雑な心境を表現しています。
オヤジさんの存在
家族全員に”おやじはだらしがない”、”お父さんのようになっちゃダメ”と言われてました。けど、嫌ってたわけじゃないんですよね。思春期にはちゃんとしていないお父さんを嫌悪してたかもしれないけど、なんやかやで好きだったよね。
んで良多と千奈津(小林聡美さん)は思春期を過ぎて、「見習うわけにはいかないが、愛すべき人」になってたよね。
この辺を具体的なエピソードなしで表現できちゃうのはすごいと思います。
親父さんには「見習うわけにはいかないが、愛すべき人」の「見習うわけにはいかないが」しか伝わっていなかったのかもしれません。さらっと流されましたが、孫が聞いた「俺は息子に嫌われているからなぁ」は悲しすぎるすれ違いです。それでも息子が大好きで本を近所に配りました。
親父と話してみるかなぁ。嫌っているわけでも、変に誤解されているつもりもないけどね。
でも何を話せばいいんだか、、、。
映画『海よりもまだ深く』のまとめ
- R40で良多や響子の悩み方に共感できるなら豊かな人生だと思います。
- 淑子の喜怒哀楽とオヤジさんという存在
- かーちゃんととーちゃんに会いに行こうかな
あ、そうだ、事務所の池松壮亮さんが言ってた恩が出てきませんでしたね。
ちょっと調べましたがわかりませんでした。なんだったんだろ?
映画『海よりもまだ深く』の評判
ヤフー映画は総計で3.8点と平均なんだけど、コメントがついている星なら4.5点ぐらい行きそう。
”画面に強弱がなく、内容も山場なく終わったよ!わけわからん!”っていう票が多いと予想していました。そのため最初に「仕切り線」みたいなことを書きました。
ですが、一つもありませんでした。
タイトルの元ネタだそうです。