フレデリカ LOVE 邦画<ネタバレ>

内容を知っている方だけどうぞ。ネタバレで感想や評価を書いています。たまに批評・解説になっちゃっているところもあり。

映画『この世界の片隅に』感想/評価:90点/のんさんの声だからこそ考えさせられる民間人視点の戦争

こんにちは。フレデリカです。

 

konosekai.jp

 f:id:frederica2014:20170108155755p:plain第40回 日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞

 

映画『この世界の片隅に』の見どころポイント

  •  すずが嫁ぎ先に溶け込んでいく中で戦争が加速していく。

  • 戦争前・戦争状態・原爆投下・終戦後。どこかをピックアップする映画は多いですが、本作は一本の流れとして描いています。

  • 広島への原爆投下は昭和20年8月6日です。劇中の日付を見ながら、いつかいつかと思わないように!

 

では『この世界の片隅に』のネタバレ感想です

 

映画『この世界の片隅に』の評価は90/100

広島の江波で生まれ育ったすずは昭和19年に呉の周作のもとに嫁ぐ。軍港に近い呉の生活は、日本が戦争状態であることが信じられないほど穏やかだった。

 

やがて空襲が続くようになり、それさえも日常になっていく。しかしそれは日常ではなく幼い命さえも奪っていく。

心がついていかず、ちゃんと謝ることも謝られることもできず、昭和二十年八月六日が来る、、、、

 

全然長く感じない二時間でした。嫁入り前のまったりとしたすずの生活を二時間見てても大丈夫かもしんないと思ってたんですが、ゆっくりゆっくりと状況が変わっていき、だんだん飲み込まれていきました。

 

お義母さんの足が悪い設定のはほとんど劇中で生かされていません。けど、晴美を助けられなかったショックで呆けるすずを防空壕に呼びかけるお義母さんを見て「すず!足の悪いお義母さんが頑張っているんだから!急いで!」と思ったので、相当飲み込まれてましたね。私。

 

戦争映画の新しい軸ができたと思いました。

火垂るの墓より好きです。というか火垂るの墓がそれほど好きじゃない。だってお兄ちゃんがおばさんの家を出た理由が飲み込めないんだもん。お兄ちゃんは「戦争に与することはできない」って意味でおばさんの家を出たんじゃなくて、折り合いがつかない(しかもお兄ちゃんのほうに原因があるように見える)から洞穴に住んでいるだけなんだもん。

 

 現実逃避

最初の空襲を晴美さんと見上げたすず。その映像はすずが自分ならこう描くというような映像になってました。最初は表現を柔らかくしたのかと思いましたが、違いますね。すずが頭の中に描いたそのままの映像だったんですね。非現実が目の前に迫ってくると脳が映像をシャットアウトするといいますが、それですね。

311の時、津波(もしくはその前の荒れている海)をテレビで見ていたのですが、私の中でテレビの中の絵がうまく理解できませんでした。今思えば私が見たのは、人影のない港で軽トラが大波に流されている映像だったのですが、直前に体験した揺れも手伝って理解できなくなってたなぁ。

 

だからこそ、固いCGのようなもので描かれた原子爆弾とその投下シーンは衝撃でした。そこまでの絵とまるきりテイストが違う原子爆弾は「あれはやばい」と感じたんだよね。

 

クラウドファンディング恐るべし!

最後にクラウドファンディングの参加者のリストが出てきました。

普通の映画よりも制約が少ないんですかね?やりたいことをのびのびやっているような気がします。

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私も参加してみようかしら?

 

カノンもすごかった!

movie-review.hatenablog.com

 

 

西洋美術はキリスト教がわかってないと分からない。

※ちなみに私は「戦争を知らない子供たち」の後の世代です。

 

西洋の画家の描く美術はほとんどが宗教画であるため、画家が描きたかったことがほとんど伝わってこないことがあります。そりゃ隣に解説が書いてありますが、その場で得た知識を絵画としてみたのとと生活の中に根付いている概念を絵画としてみたのでは感動が違うわなぁ。

 

本作はそれを感じました。大上段から言えば「日本人なら必ず見てほしい」「日本人なら感動できる」ってことです。

ただ、申し訳ないのですが、私は「昭和20年に広島に原爆が落とされた」までは知っていました。被曝する前の原爆ドームを見て、これがああなっちゃうのかと思うこともできます。

けど、原爆を落とされた日はあやふやでした。5月当たりだったかなと思いながら見てました。そのため、空襲警報のたびに作品がいいたいとは別の方向に無駄にドキドキしてました。ちょっと残念でした。(私が)

 

 

本作は最低限「昭和20年に広島に原爆が落とされた」を知らなければ、ご都合主義にしか見えません。

物語の舞台装置として歴史の大きな転換期を使う利点。

 

100%創作なら、すずという民間人を描きたかったとしても

原爆を落とすために米軍側の原爆開発過程を書かなくちゃいけないし、

戦争を始めるにも終わるためにも軍部上層部を描かなくちゃいけません。

原爆投下も終戦もあんなに突然に発生させたら大たたきです。私もここぞとばかりにたたきまくります。

 

言いたいことだけ描ける。そのほかは見ている側が補完してくれる。

伝わる人が少数になってしまうかもしれないけど(本作は日本人に限定されちゃうかも)、言いたいことに集中できるのは利点かなぁと思いました。

 

 

映画『この世界の片隅に』のCAST

北條すず - のんさん

まったりしてて内気で絵を書くことが好きだったすず。

 

後半で色々考えられるようになった理由は

大人になったからだと思うんですが、戦争のせいで悲しいことがたくさんあったからだと考えてしまうことが悲しいですね。

 

のんさんを主役に添えるのは話題づくりしても主役はダメだろうと思ってました。周囲を固めるのは声優に明るくない私でも知っているような声優たち。浮くだろうなと思いました。

 

ですが全く違和感がなかったです。私の中の「のんさん」は「あまちゃん」の「あき」であり、天然ボケです。それがすずとうまくマッチしているなぁと思いました。のんさんはすずだからこそできたけど、ほかの役は無理だろうなと思いました。

が、そんなことないですね。後半になっていくにしたがって感情を高ぶらせるシーンがいっぱいありました。高ぶらせ方も一つではなく、晴美への悔恨・お義姉さんへの謝罪・終戦への怒りなどなど色々ありましたが違和感を一つも感じませんでした。

 

lineblog.me

北條周作 - 細谷佳正さん

周作の目が一番わかりやすいんだけど、よく見ている絵柄な気がするんだけど、こうの史代さんの過去作に思い当るものがない。

どこでみたんだろ?誰かに似てるってことなんだろか?

 

live.line.me

黒村晴美 - 稲葉菜月さん

頼む!助かってくれ!と願っちゃいました。

 

戦争とは国と国の戦いであって民間人に被害は出しちゃダメだろう!クラスター爆弾で被害が出るのは民間人に決まっているだろう!!

、、、と思ったんですが、これは新しい考え方になっちゃうんですかね?

 

アナの子供時代の声を当てたそうです
雪だるまつくろう(日本語歌)

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黒村径子 - 尾身美詞さん

 ハイカラ好きな嫌なコトメさんかと思ったら違いましたね。自分でものを考えて自分で進んでいくというすずとは正反対の性格だっただけで、思いやりを持っている優しい普通の人でした。まったりとしたすずにイライラしたこともあったろうけどね。

だからこそ晴美さんを失ってもすずをずっと責めたりしない。切り替えなくちゃいけないのもわかっている、家の中で悲しむとすずが自分を責めるから、外で泣く(すずが見かけてしまいましたが)。やさしい人でした。

 

ところで、すずが嫁に行った直後に、里帰りを促したのは何だったんでしょ?家事にNGを出されたのかと思ったんだけど、帰ってきたすずを普通に受け入れてたよね。北条家で何の会議がされたの?すずが議題ではなく、お義姉さんの旦那家からの離縁のはなし?

 

ameblo.jp

 

水原哲 - 小野大輔さん

なかなかに立ち位置の難しい人でした。

すずを訪れた時、周作がいつキレるかドキドキでしたよ。

 

次に、死地に旅経つ海兵に妻を貸す風習でもあるのかと考えてしまいました。

 

周作を納戸に泊めたのはイラツキとヤケを起こした配慮だったんですね。

すれ違いを経て、やっとすずと周作が喧嘩できるようになりました。

 

浦野すみ - 潘めぐみさん

一応補足。見ているときに私が確信を持てなかったので。

妹のすみの手首の湿疹のような描写は原爆症です。「ピカの毒にあたった」です。

 

原爆症画像 - Google 検索。クリックするなら心してみてください

 

twitter.com

北條円太郎 - 牛山茂さん

色々とお騒がせな人(笑)

突然寝ちゃってみたり、息子のキスシーン見ちゃったり、ちょっと遠い病院に収容されてみたり。

 

オクトバーさんだそうです

 

北條サン - 新谷真弓さん

普通なら、「足が悪いのを生かせてないじゃないか!だったら設定するんじゃねーよ」って思うんですけどね。お義母さんが動かざるを得ないほど、すずがショックを受けていることが伝わってきました。

 

 

白木リン - 岩井七世さん

普通なら、「座敷童と遊郭ってどういうことだよ。何しに出てきたんだか分かんねーよ!」と思うはずなんだけどね。

彼女のおかげで、すずのいる呉や江波以外にも世界があり広がっているという厚みを与えたような気がする

 

 

浦野十郎 - 小山剛志さん

 

浦野キセノ - 津田真澄さん

 

 

 

 

主題歌とサントラとか関連グッズ

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劇場アニメ「この世界の片隅に」オリジナルサウンドトラック

 

みぎてのうた

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原作

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ドラマ化もされていました。すずが北川景子さん?気の強い女性のイメージがある北川景子さんは、すずにつながらないなぁ。私の中で完全に、すず=のんさんになりました。
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監督さんと脚本さん

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俳優さん

 

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映画『この世界の片隅に』のまとめ

  1. 第二次世界大戦モノで語るべき内容がすべて詰まっていたような気がする。すずの性格や畑の風景と相まってのんびりした感じで進むのに胸が痛いよ
  2. 歴史的背景を知らないと意味が分からない話はよい印象を受けたことがなかったんですが、本作はよかった。
  3. 原爆投下が5月頃だったと勘違いしながら見てました。空襲のたびに違う意味でドキドキしてました。もったいなかったかな。

 

映画『この世界の片隅に』のベストシーンとセリフシーン

ベストシーン

広島への新型爆弾投下の瞬間。

 

民間人にとっては一瞬だよね。その後にジワジワとわいてくる異様感。

 

ほかには、最初の空襲の時にすずの絵になったところ。非日常すぎて脳みそが勝手にスィッチを切り替えたようでした。

 

対になっていると思いますが、原子爆弾が異様にきちっと書いていました。

セリフシーン

ぼうっとしたまま死にたかった!

 

すずの叫びですよ。これを痛いと感じるのだから、私は劇中でいう「普通の感覚」は保っているんだと思う。

 

 

その前の玉音放送へのすずの怒り

こんだけ犠牲を出しているんだから勝て!

 

戦争に賛成していなかったであろうすずです。このまま消耗戦になっていくのは本位じゃなかったでしょうがやりきれなかったですよね。

 

 

ほかにはお義父さんがすずたちを空襲から守っているときに言っていた

 

やれ!やれ!

 

自分がかかわったプロジェクトの戦闘機が大活躍している!そこに興奮しているお義父さん。個人的には風立ちぬに似た嫌なものを感じました。ガンダム(戦争モノです)大好きなんだけどね。

 

冒頭にのんさんのインタビューがあります

www.youtube.com

 

映画『この世界の片隅に』の評判

4.61/5

yahoo映画よりコメントありを数えました。(2016.11.14現在)

少数の否定意見はのんさんにたいしてのものですね。

 


 

タグ

監督:-片渕須直さん- 

俳優:-のんさん-  -細谷佳正さん-  -稲葉菜月さん-  -尾身美詞さん-  -小野大輔さん-  -潘めぐみさん- 


 

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映画と関係ない話

月曜日に見ました。

トイレを借りに映画館の下のゲーセンに入ったら

じーちゃんとばーちゃんがたくさん。

高齢者がゲーセンに通うって話を聞いたことありますが、本当だったんですね。

 

みなさん、二人より添ってラブラブな感じでコインゲームに興じてました。

 

 

 

、、、、、くっそう、、、、ラブラブな相手がいるのはうらやましい。

 

www.youtube.com

そういえば、仕事さぼっているサラリーマンはいなかったなぁ。