フレデリカ LOVE 邦画<ネタバレ>

内容を知っている方だけどうぞ。ネタバレで感想や評価を書いています。たまに批評・解説になっちゃっているところもあり。

映画『スポットライト 世紀のスクープ』感想/評価80点/擬人化されない敵

こんばんわ、フレデリカです。

本日、二本目の映画です。気合入れてコナンを見たので気楽に見ました。実際の事件だということなので、ハードルを全く上げずに見に行ったら面白かったです。

 

spotlight-scoop.com

 

映画『スポットライト 世紀のスクープ』のポイント

  • 映像でのインパクトを作ろうとするとテーマがぶれるので衝撃映像はありません。
  • ペンは剣よりも強し。こいつは真理など滅多に存在しない人間社会の中で、数少ない例外の一つだ。(ヤン・ウェンリー
  • 政治の腐敗とは政治家が賄賂をとることじゃない。それは政治家個人の腐敗であるにすぎない。政治家が賄賂をとってもそれを批判できない状態を政治の腐敗というんだ。(ヤン・ウェンリー

 

さて、ネタバレです。

 映画『スポットライト 世紀のスクープ』は?

ボストンにあるグローブ紙のスポットライト欄を担当しているチームは新任の編集長から、記事の深堀の甘さを指摘される。神父による性的虐待。チームはそのタブーに切り込む

敵が見えないのに、はっきりと敵が見えました。字幕では”教会”と書いてあるのに”システム”って言ってたのは衝撃でした。敵はいたずらをする神父でも現在の枢機卿ではなく、絶対的な権力を持っている教会という隠蔽体質を持つ組織。

なるだけ表層的なインパクトがないように作成してあり、組織が敵なのがすごくわかりやすかったです。

 

劇中でも言ってましたが、教会(という宗教を支える人的システム組織)と信仰は別物ですね。

思えば私は大きくくくれば仏教徒ですが、熱心ではありません。日本に生まれ育った人間として神道の心得だと知らずと神道の考え方をしている部分が思います。

私は八百万の神を信じていますし、お墓参りで先祖と仏さまに祈りもします。ですが、自分の価値観を100%は宗教にゆだねていません。

宗教サイドからだと信仰心が薄いというでしょうが、それなり自分自身の中に価値観のあるという言い方のほうが近いと思います。私や劇中の新聞記者は。

ですが、そうではない方々もいますし、子供ならそれが顕著でしょう。自分の価値観と信仰が同一で、信仰で絶対視している神父が自分の価値観になく否定的なことをしてくる。耐えられないよねぇ。

 

なんとなく政教分離って言葉を思い出しました。国レベルなら政教分離ってことですね。

 

実話物の恐れ

実話だと話が中途半端に切れるんですよね。人の人生なんて一か所を切り出してもうまく起承転結にならなくて、ぐだぐだになることがあります。

最近のグダグダ
物語の起承転結よりもBLシーンが大事になっちゃってる映画

このスポットライト世紀のスクープもそうだろうなと思いながら見始めました。尻切れトンボだろうなと。

 

そんなことありませんでした。面白かったです。

 

衝撃映像なし

どっかで性的いたずらの映像が出てくると思ってました。そういえばR指定がありませんね。

映画作成(というかエンターテインメント)の手法として衝撃のあるシーンがあったほうがお客が呼べて満足度が上がると思うんだけど、それだと神父個人にスポットが当たってしまう。個人の罪になっちゃうんですよね。

描きたいのが組織の罪だから客の意識が違うところに行っちゃうんでしょうね。

 

絶妙なタイミングの讃美歌

だからこそラス前で加速する直前の讃美歌がグッときました。そこまで事情聴取も成人した人たちだったんですよ。そこで初めて教会を疑いなく信じている子供たちが表現されます。子供たちが屈託ないキラキラした目が、、、目が、、、、!

ふつふつと教会が許すまじという感情が!!

 

擬人化した敵なし

教会の象徴が出てこないんですよ。枢機卿はそんなに前面に出てこない。っていうかノーコメントで逃げました。

上にも書きましたが、いたずらしている神父も出てこないし、組織の代表の枢機卿も”敵の代表”じゃないんですよ。敵はあくまで”教会という組織”。徹頭徹尾それが一貫されてました。

でも組織という目に見えないものはフワフワしてしまうものです。だから擬人化するのが定石なのに、それをしてきませんでした。でもよくわかりました。この手腕はすごいな。

 

各々の正義感とそのタイミング・新聞社の怠慢(?)

教会の闇を知るものは各々の正義感とタイミングで行動に出ていました。最後の手段としてマスコミにリークしたはずだったのに新聞社は動いてくれませんでした。

 

怠慢というか、、、アンテナが鈍感になっていたというか、保守的になっていたというか。

 面白い話だけど、ここの部分については放置だろうなと思ってました。特ダネをつかんだ新聞社スゲー。教会の闇に切り込んだ新聞社賛美になっちゃってるなと。

だけどラストにしっかりと議題に挙げてきました。

 

精神年齢の低い神父さん

明確な敵が人格化されていないですが、一瞬だけ具体例が出てきます。それが精神年齢の低そうな神父さんです。記者をお姉さんが追っ払ってた時の人。

まるで自分も被害者みたいな言いようでした。言っていることも幼い。教会という閉鎖した社会で生きてきた人が精神が成長しきれなかった結果なのかな?

テレビの識者のコメントでは「幼い頃からスポーツばかりしているから社会常識がない」
 

ラストの結果テキストはあれでよかったの?

スポットライトチームがやりたかったのは神父の性的虐待の告発じゃなくて、教会という組織の刷新だったんじゃないの?

テキストでは枢機卿の更迭と神父の退任(?言い方は違うと思いますが)した教会支部(?言い方は違うと思いますが)のリストが出てたけど、、、、。それでいいんだっけ?範囲がボストンだけじゃなく、オーストラリアのシドニーもあったみたいだから、大きな変革だったとは思うけど、、、、。

 

映画『スポットライト 世紀のスクープ』の感想まとめ

  1. 教会という最後の救いに罠があるのは許せませんな。
  2. 敵は組織そのもの。代表する人を作ってやっつけたわけじゃないのにわかりやすく面白かった。
  3. 客寄せの衝撃シーンがないのに2時間集中できる濃さ

 

映画『スポットライト 世紀のスクープ』の評判

基本的にべたほめ。会話劇であり画面的な派手さがないので単調という人も

 

 

今日のご飯は金京飯店でした。

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