フレデリカ LOVE 邦画<ネタバレ>

内容を知っている方だけどうぞ。ネタバレで感想や評価を書いています。たまに批評・解説になっちゃっているところもあり。

新宿ゴールデン街の桜まつり/薄く熱い思い

4月12日の日中。新宿ゴールデン街で火事が発生しました。

 

実行犯のホームレスが捕まりました。ですが私が聞いた限り、ほとんどの人が真相だとは思っていません。ですが、真相にたどり着けるとは思っていませんので私たちが考えるべきは火事に対するリアクションであり、次のアクションです。

 

私の立場。

誰かに説明したことはありませんが、私は一番外縁のゴールデン街の住人だと思っています。

  • 中心部:地主と店のオーナー
  • 内縁:アルバイトしている人たち
  • 外縁:酔客

私は外縁の酔客になります。お店の開拓もできておらず2,3件のお店で飲み続けて数年になります。カウンターの中の人たちには及ぶべくもありませんが、私なりにゴールデン街に愛着を持っています。

 

それまでのゴールデン街

もともと戦後のどさくさの中で作られた風営法の許可を取らない青線でした。そのため、建築基準も最低限しか守られずどんどこどんどこ立てられました。

時代が流れて、風営法や警察機構が整備されて厳しくなっていき、置屋のようなことができなくなり、飲み屋街となります。そのころは、安酒を飲みながら、文壇や見識の高い人たちが喧々諤々やる飲み屋街でした。それは敷居が高く感じます。

戦後のドタバタの中で作った建物のまま、今に伝わるゴールデン街の風景は”昭和”を漂わせ、古き良き日本を懐古させるようになりました。

 

今は文化に知識がなくても普通に飲めます。”酒が強くなければ人間じゃねえ!”ということもありません。明るく楽しいところですよ。

 

店のドアを開ければそこには。

10席未満のカウンターだけで営業している店が多いです。しかもぎゅうぎゅう。窮屈です。ですが、だからこそ始まるコミュニケーションがあります。もちろん意見が合わないこともあるし、うるさすぎて嫌になることもあります。カウンターの隅で一人で飲んでいる客もあります。

そんなあいまいで有象無象を私たちは愛しているのです。なんかごちゃごちゃしている感じがいいのです。

 

時代にほんろうされているゴールデン街-再開発説

始まりが青線であり、今の建築基準では許可の下りない建築方式や耐久性で建てられている建物が多い街です。建物が勢いのみで作られたところが多いですから、街並みとして美しくありません。それを上記の通り、”古き良き日本”とか”昭和風味”という言い方をすると味が出ますが、近代化を目指すと不要なものになります。

 

そのため、ゴールデン街の全ての建物を取り壊して立て直そうという計画があると聞いたことがあります。前の前の都知事の頃だったでしょうか。ひょっとしたら新しい建物の中で営業できるかもしれません。でもそれはゴールデン街の住人がゴールデン街に求めているものを否定することになります。魅力がなくなってしまうんです。ごちゃごちゃ感がなくなってしまうんです。

 

モヤモヤした読後感が味の小説をもとに、正しく冷静に整理してつまらなくした映画


ですがその再開発に待ったをかけた人たちがありました。私たち住民ではありません。外国人観光客です。

 

時代にほんろうされているゴールデン街-外国人観光客

ここ数年、海外の東京の観光名所の一つとしてゴールデン街が大々的に紹介されているらしく、外国人観光客が多いです。しかも好評らしく、東京ガイドでは必ず紹介される記事になったらしく、うなぎのぼりに増えています。

政府や東京都にとってゴールデン街は近代化から乗り遅れた街から収入源になる観光スポットになりました。

外国人観光客の皆さんはとっとと目当ての店まで行きたいのにのんびりのんびり歩いています。正直邪魔です。3人並べばすれ違うのに苦労する道を4人ぐらいで歩いています。外国人というよりは観光客の常ですね。その街のルールが分からない。

 

ですが、彼らのおかげでこの街が生き延びていると思うと感謝もしています。店に入って「今日は外国人さん多いねー」なんて話の切り出し方にもしていますし。

 

そんな風にみんな勝手に飲んでいます。時に笑いながら時に怒りながら時に寂しくなりながら。

 

なんとなく似てるかな?2chが閉鎖の危機になった日。

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そして火事が起こりました。

 消火された夜。私はいけなかったのですが、みんな自分が馴染みの店の様子を見に行ったらしい。心配だった・笑いに行った・面白そうだから。表情と表現は様々だと思いますが、みんな自分のことの一つとして受け止めたのでしょう。

 

 私はいけたのは4日後の金曜日でした。一番の馴染みの店は火事の直撃を受けており、立ち入り禁止のテープの向こうでした。もう一つの店はお客さんでごった返して入ることさえ立ち入れなかったです。

 

 

ちょっと離れたところで飲んで帰りました。

そして日曜日の桜まつり


店に入れないところは駐車場で共同で店を開けました。始まる前は強い風と雨がありましたが天気に恵まれて人が出てました。

私のような住人や何年も来ていない住人がみんな集まったんでしょう。

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薄く熱い思い

私たちはゴールデン街に来なくてはならないという義務はありません。好きで来ているだけです。そして来なくなってしまった相手を懐かしく思うことはあっても引き留めることはほとんどしません。酒を飲んでいるのは楽しいが、人生はそれだけで構成されていないと知っているからです。

だから連帯感は薄いと感じています。だけど、何かあった時に自分のことのように感じる思いは熱い。

 

私はやっぱりこの街が好きです。