遅くなりましたが、「罪の声」を見てきました。
今の映画館は「鬼滅の刃」独り勝ちです。というか、コロナ禍での救世主になっています。
その鬼滅の刃に話題をすべて持っていかれましたが、「罪の声」はすごかったです。重厚すぎる。
罪の声
作品情報と鑑賞前感想
- キャスト:星野源さん 小栗旬さん
- 監督:土井裕泰さん
- 脚本:野木亜紀子さん
- 公開日:2020.10.30
- ジャンル:社会の裏側・犯罪・裏社会
- 上演時間:142分
- レーティング: G
あらすじ&鑑賞前感想
新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、昭和最大の未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、残された証拠を元に取材を重ねる毎日を過ごしていた。そして30年以上前の事件の真相を追い求める中で、どうしても気になることがあった。なぜ犯人グループは、脅迫テープに3人の子どもの声を吹き込んだのか・・・。
京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)は、父の遺品の中にカセットテープを見つける。 何となく気に掛かり再生すると聞こえてきたのは、幼いころの自分の声。それは30年以上前に複数の企業を脅迫して、日本中を震撼させた昭和最大の未解決事件で犯行グループが使用した脅迫テープと全く同じ声だった!
ここから先は 罪の声 の感想です。ネタバレしてます!!
罪の声 - ネタバレ感想 ( 85 / 100 )
全集中した142分でした!
2020年の邦画は長くなる傾向にあります。120分超えもちらほら。その中でも142分は長い部類なんですが、長さを全く感じませんでした。
元ネタの事件の真相や調査して分かったことをつなぎ合わせて真実に近いものを提示したかったのではなく、それらをベースにして重厚な物語を描きたかったのだろうなと感じました。
元ネタにした事件が日本を震撼させるレベルの事件だったので、表層に出てきたことは軽く説明してくれれば、すっと思い出せます。
阿久津と曽根の対比がすさまじい
少し形を変えたバディものにも見えますが、二人の意識の違いが心地よかったです。こういうのって人物にインパクトを付けるために、一方が善人で他方が悪人か価値観が極端なことが多いです。ですが本作は常人が持っている二面性という範囲でした。
曽根と阿久津の調査の違い
曽根が情を使いながら(失礼!)調査を進めるのに対して、阿久津は技を使いながら調査します。その違いがはっきり出ていたのが小料理屋の料理人への対応です。
曽根は望の母校で望の友人に会い、「自分がちゃんと生きていることが誰かの希望」だと知り、真相にたどり着かずに調査を終えました。素人の調査ではそこが限界だったし、望の友人の涙に、これ以上掘ってはいけないと思ったのでしょう。
阿久津は技と慣れをつかってぱっぱと小料理屋にたどり着いて、小料理屋2Fでの詳細を聞き、さらに曽根のことを聞き出します。
阿久津が曽根の店を訪れたのは何か運命的なものを感じてしまいました。
露悪に走らずに阿久津の人のよさが出てる
特に感じたのが記者の阿久津。普通の人は「めんどくさいの奥に正義」を持っています。最初の阿久津は、めんどくさい特集記事を押し付けられたようにしか考えていませんでした。それが思いのほか、順調に深堀できて熱中し始める。そこに曽根の”熱”(当初の熱は否定でしたが)をぶつけられて、眠っていた正義感が起きてくる。その流れが見事でした。
告発の二元中継と結末は見事。
個人的に悔しいのは、動物園の描写でずーーーーーーと「11/15」って書いてあるのに「この時に叔父が曽根の声を撮ったんだろうな」と思ってたこと。俺は何も見てねえのかと心底思った。
告発の二事件中継
曽根vsお袋さん、阿久津vs達雄。
事件のリーダーじゃないのに達雄を問い詰めることが事件の終結となる展開は見事でした。事件としての暴力的な面をリーダーの青木に回したこと、達雄が抜けると事件がグダグダになったとの描写が絶妙でした。
事件の核が曽根の周囲にあったことが必然性があったのは圧巻でした。
曽根の思いを病のお袋さんに突き付けることはできない。だからこそ阿久津がそれを達雄にぶつけました。「あなたのようにはならない」。警察をひっかけてやった!と悦にしたる達雄を絶望の淵に落としました。スカッとしたとは言いませんが、留飲は下りました。
総一郎も救うとは思わなかった。
総一郎については話を聞いて出番が終わりだと思ってました。総一郎が再び出てきて母親と再会するところまで描写されたのには感動。
曽根が仕立てたスーツを着るという形で、曽根の思いも持って行ったのは、すべてが消化されていくようでした。
ややこしいのにややこしくなかった
物語としてはかなりややこしいです。時系列が行ったり来たりしていたり、主人公二人の合流が遅かったりと、物語を作る基本を破っている。「守破離」でいう離のレベルですね。
その過去編も時系列順に提示されているわけじゃないから相当ややこしいはずなんですが、非常にわかりやすかったです。
たまに、現在と過去の描写が入り混じっているけど、どこまでが現代か、どこからが過去シーンかわからない映画ってあるもん。過去シーンをしばらく見てから「あ、これ過去シーンか」と思って、頭の中を書き直すのって大変なんですよ。
昔、伊集院光さんがラジオで「ややこしい映画を理解できないのは、俺様に理解できるように作っていない映画が悪い!」と言ってましたが、本当にその通りです。本作は理解できるようになってました。
罪の声の人物相関図と時系列
久しぶりに人物相関図を書いてみました。顔の画像を入れる隙間がありませんでした。
グリコ森永事件のころは小学生でした。
よく覚えてますよ、グリコ森永事件。
お菓子を食べる習慣がなかったから、私の生活にはダメージがありませんでした。スーパーからお菓子がなくなったなぁぐらい。
私の問題は別のところにあります。当時の担任が「キツネ目の男」の似顔絵にそっくりでした。担任が普通に教師をやっているのがおかしいと思うぐらいでした。
今思うと、タレコミや警察のマークは入ってたでしょうね。
罪の声 のベストシーン
映画のキモ
曽根vsお袋さん、阿久津vs達雄の二元中継
熱かったです。曽根が「僕のことは考えてくれなかったの?」と言ったときに、それ以上は詰められないよなあ、、、と思っていました。そしたら阿久津が「伝言です、あなたのようにならない」と言ったときには心の中で気持ちのピースがピタッとはまった思いでした。
直前まで、日本をひっかけてやった!とドヤ顔してました。
冗談
ついつい余計なことを言っちゃう小料理屋の料理人
かわいかった(笑)
きれい・かわいい・色っぽい
望(原菜乃華さん)のプルプルのお肌。
そこまでがオッサンのアップばっかだったので、光り輝く将来を夢見る中学生の横顔とお肌の質感がきれいでした。
タグと評判
タイトル:-罪の声-
監督:-土井裕泰さん-
脚本:-野木亜紀子さん-
罪の声 の評判
4.06/5.0 (yahoo映画 2020/11/09)