MOTHERを見てきました。長澤まさみさんの怒声に圧倒されまくってました。周平役の奥平太兼さんも自然でした。すごかった。
MOTHER
作品情報と鑑賞前感想
MOTHER
※いつもはここに公式ページのURLを張るんですが、重すぎて表示できないようです。
- キャスト:長澤まさみさん 奥平太兼さん 夏帆さん 皆川猿時さん 阿部サダヲさん
- 監督:大森立嗣さん
- 脚本:大森立嗣さん
- 公開日:2020.07.03
- ジャンル:社会の裏側・犯罪・裏社会
- 上演時間:126分
- レーティング: PR12
あらすじ&鑑賞前感想
男たちとゆきずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきた女・秋子。シングルマザーである彼女は、息子の周平に奇妙な執着を見せる。周平に忠実であることを強いる秋子。そんな母からの歪んだ愛の形しか知らず、それに翻弄されながらも、応えようとする周平。周平の小さな世界には、こんな母親しか頼るものはなかった。やがて身内からも絶縁され、次第に社会から孤立していく中で、母と息子の間に生まれた“絆”。それは成長した周平をひとつの殺害事件へ向かわせる―。
監督は大森立嗣さん。私が見たことがあるのは「さよなら渓谷」と「日々是好日」です。両方とも深い味わいがありました。
問題があるとしたら長澤まさみさんです。いや、本人ではなく取り巻く状況です。
彼女の最近の話題作は「コンフィデンスマンJP」です。もともとは月9ドラマですが、去年に映画が公開されて、来月あたりにもう一度映画が公開されます。
その映画の主役の一人が東出昌大さんです。劇中では長澤まさみさんが上の立場で東出昌大さんが下の立場。
私にとって今の長澤まさみさんには、出来の悪い弟がいるようなイメージになってます。それを忘れて映画を見れるかなぁ。
ここから先は MOTHER の感想です。ネタバレしてます!!
MOTHER - ネタバレ感想 ( 80 / 100 )
キャラクターと俳優
元になった事件についてwikipediaに一つのページにはなっていませんでした。児童虐待のページに一節が書いてありました。
2014年3月に埼玉県川口市で17歳の少年が金銭目的で祖父母を殺害して強盗殺人容疑で逮捕され、裁判で懲役15年の判決が下った。証言から、少年は実母と養父から身体的・性的虐待を受けてきてこと、小学5年生から学校に通わせてもらえず野宿などをしながら各地を転々とし、義父と別れたのちも働かない母親の命令で、少年が被害者である祖父母や親戚に借金を繰り返し、盗みや就労で生活費の工面をし、異父妹の面倒も見ていたことなどがわかった。裁判では、長期にわたる虐待により学習性無力症となり、虐待児によく見られる「見捨てられ不安」を利用した母親の心理的操作の影響を受けた結果の犯行であることが指摘され、少年が極悪な環境にいることを感じながら周囲の大人や社会が救えなかったこと、一度接触のあった児童相談所が虐待を見逃したことなども問題視された。
三隅秋子 - 長澤まさみさん
サイコパスですね。グズ特有のニヤニヤと笑ってその場をごまかす感じがない。
反社会性パーソナリティ障害、もしくは非社会性パーソナリティ障害は、社会的規範や他者の権利・感情を軽視し、人に対して不誠実で、欺瞞に満ちた言動を行い、暴力を伴いやすい傾向があるパーソナリティ障害である。診断には、子供の頃は行為障害(素行症)であった必要がある。加齢と共に30代までに軽くなる傾向もある。
相手がどんな気持ちか鋭く察することができる。でも共感はしてない。だから冷静に利用できる。
社会に適した方向でこの能力を使うと大企業の社長になるらしく、サイコパスって大企業の社長にも多いらしいですよ。
けど、秋子は直情型のバカだから積み重ねることができない。目の前の人をその時だけコントロールをできても、二日後の行動をコントロールすることまで意識が到達しない。
計算できるなら最初の市役所役員にぶらさがればいいんだよね。
敵がサイコパスの女子高生でした
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周平 - 奥平太兼さん
この映画が成立したのは彼の力量の部分が大きいですね。
16歳の新人だって。すげーな。演技が「新人で若いからしょうがない、今後頑張っていこう!」のレベルだったらすべてが壊れてたよ。
高橋亜矢 - 夏帆さん
周平とは違って、毒親から離れる決断をできた人。
宇治田守 - 皆川猿時さん
刺された市役所所員。
秋子に生活の安定という計算ができれば、彼とくっつけばよかったんだけどね。今日のことしか考えてなくて、明日のことに思い至らないから幼い周平の預け先ぐらいにしか思えない。
川田遼 - 阿部サダヲさん
ゲーセンで拾ったクズ。かと思ったんだけどね、一発やったら逃げて行くかと思ったらずいぶん長いこと一緒にいたよね。
市役所所員を刺したときに、一緒に逃げたのは驚いた。お互いに責任を擦り付けて別々に逃げるもんだと思ってたよ。
物語の感想
秋子はクズではなく計算できないサイコパス
目の前にいる男を操るのは長けているんですけどね。それ以上のことは考えられない。
天性の勘で背中の一押しができる秋子
共依存となっている周平に命令し、その内容が倫理に反している。周平は母の言うことをかなえたいが、倫理に反しているので動けなくなっている。比率的に7:3.
そこで悪魔の一押し。「フユカを連れて行く」「フユカが死んじゃう」。これで周平の気持ちが10:0なります。
他の男にも同じ手法を使っていました。最後の背中押しが下心だったり体そのものだったりします。
その背中の押し方に天性の素質があるんですね。学生のころからそうやって男を動かしてきて楽して生きてきちゃったんでしょうね。
土木屋の一件が一番わかりやすい秋子のテンプレート
秋子の生活のルーチンは土木屋での生活が分かりやすいですね。
- 秋子にちょっかいを出してきたやつを見つめる。「こいつ、うまくつつけばどうにかなるな」と秋子は見極める。
- 気が付いたら相手卓でカレーライスをごちそうになっている。周平が男が落ちたことに気づく。
- 男と二人きりになる(昔は周平をコンビニに行かせてた)。男を見つける。Hする。
- 秋子の怠惰と外的要因で面倒に巻き込まれそうなって逃げる。
秋子はその時々で本気ではある
恋でも愛でもありゃしませんが、秋子が相手にすがっているときは演技ではなく本気なんでしょうね。「こいつといれば金に困らないから逃さない」ではなく「こいつと一緒にいたい」と思っているんでしょう。都内の駅前で遼に逃げられて周平に泣きついたときも本気で周平しかいないと思ったことでしょう。だけど、一時間も泣けば気持ちを切り替えてるだろうけど。(土木屋にたどり着いたころには周平を下僕にしか思ってなかったし)
周平の分岐点
唯一、母親に歯向かった瞬間の周平。「勉強したい」
逃げようとする秋子たちに対して、一人で残りたいという周平。
秋子の「みんなが嫌っている」は全く説得力のない言葉です。ひょっとしたら周平はそれに気づいていたかもしれないです。ですが、秋子と一緒にいることを選んでしまいました。
ここで押し切れれば、高橋と同じようにまっとうな道に行けたかもしれませんが、秋子の迫力と、悪魔の後押しに屈して一緒に逃げることになりました。
正論にふたをして戦争に向かったドズルと同じ、、、かな?
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秋子と周平
秋子は周平を愛していたか。自分の世界に誰かが踏み込んでくることに強烈に拒否反応を締めます。子供として愛しているというよりは、所有物や絶対に裏切らない道具として愛してたように見えます。だからこそのラストの無表情だし。
周平は秋子を愛していたか。秋子の所有欲によって、外界との関係を絶たれてしまい、ほかに世界を知らないので頼らざるを得なかった。愛したかった。一言で言えば依存ですね。
結末の時点で二人とも後悔はしていません。ただ、周平が刑務所?鑑別所?で他の世界を知ったら秋子をどう考えるでしょうね。
物語を成立させているのは長澤まさみさんの怒声と二人の周平
長澤まさみさんがすごくちゃんと腹式呼吸ができてる。
あの怒声が軽かったら物語は心に何も入ってこなかったでしょうね。
その長澤まさみさんの怒声を受けてたつ周平。たたずむ姿も歩きながらの沈黙も心の葛藤が見て取れました。
重箱の隅! ジョイントがおかしい
思っちゃったのだから仕方がない。
- 市役所員を刺して逃げて、無事を知ったときに、潜伏先を逃げる必要はなくない?地元に戻るつもりもなかったみたいだし。
- 東京から逃げるとき、遼がいなくなったんなら戻ればよくない?
- 遼からのグループメールが来ても、「誰だっけ?」とばかりに連絡先を削除した方が秋子らしいけどなぁ。一緒にいるときは惚れてたけど、離れても絆を感じるような惚れ方をしている様子は感じられなかったよね。
- 土木屋で五十万足りないなら戻せばいいじゃん。逃げる必要がねえ。
- 殺した理由も分かんないし、戻ってきて金を握ってないのもわかんない。
MOTHER のベストシーン
映画のキモ
ラスト。何もない四畳一間で無表情の秋子 。
ゆっくりと表情が変わっていっています。
考えているのは息子や娘の安否や後悔じゃない。微塵も考えていない。
話を聞いて、いろいろ考えて最終的に「あいつ、まだ使えるな」ということに到達した顔。
ほかには
土木屋の社長に親として人として怒鳴られてるのに、冷静に相手を観察する秋子。
まさにサイコパス。
冗談
懐柔に失敗してテント暮らしをする親子
ラブホの店長は秋子が男を落とすのに失敗した唯一の男です。
きれい・かわいい・色っぽい
坊主にした時の周平の二重
長澤まさみさんは水着・下着・風呂・パンツ脱がされているとかいろいろありました。男を見つめる顔もきれいでした。
だけど、一番はキメに決めまくった周平の二重にしたい。
タグと評判
タイトル:-MOTHER-
監督:-大森立嗣さん-
脚本:-大森立嗣さん-
俳優:-長澤まさみさん- -奥平太兼さん- -夏帆さん- -皆川猿時さん- -阿部サダヲさん-
MOTHER の評判
***/5.0 (yahoo映画 2020/**/**)
その他
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東京都 新たに131人の感染確認 100人以上は3日連続 新型コロナ | NHKニュース
私のこと
まだテレワークはつづくらしい。もう一度、日常を考え直してみるか。