星の子を見てきました。クライマックスに差し掛かった時に、どこかの座席から荷物が落ちた音がしました。それを「うるせーな」と思うほど楽しんでました。
星の子
作品情報と鑑賞前感想
- キャスト:芦田愛菜さん
- 監督:大森立嗣さん
- 脚本:大森立嗣さん
- 公開日:2020.10.09
- ジャンル:社会の裏側・犯罪・裏社会
- 上演時間:110分
- レーティング: G
あらすじ&鑑賞前感想
大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろだが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治した“あやしい宗教”を深く信じていた。中学3年になったちひろは、一目惚れした新任のイケメン先生に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、彼女の心を大きく揺さぶる事件が起きるー。
監督は大森立嗣さん。偉そうに言えば、俺様と相性がいい監督さんです。
理屈バカの私としては、答えのないものを考えこむのが好きで、それを提示してくれるのが大森監督なのでしょうね。
ここから先は 星の子 の感想です。ネタバレしてます!!
星の子 - ネタバレ感想 ( 88 / 100 )
キャラクターと俳優
林ちひろ - 芦田愛菜さん
二世信者さん。
何をどこまで信じるかを悩む主人公。
重要なのは「赤ちゃんの頃に助けられたし、それで親が信じた。だから、私も付き合わなくちゃいけない」という部分がないところ。もしくは強調されていないところ。
自分を助けてくれた義理や恩で宗教から出れないのではなく、
ちひろの中で、生まれたときにあった常識が、後から得た外部の常識とが対立している。
両者の間に立って冷静に両立しているかと思ったんですが、そういう年齢じゃないですね。
周囲を固める方々
南先生 - 岡田将生さん
世間の常識を具現化した人。宗教内部の常識を考えうる中で最悪の形で突き付けてきた。
陽キャはすべてを受け入れてくれそうで嫌悪感がマックスになった時の攻撃力は半端ないですね。ちひろは勧誘はしてねえ。
でも、カルト宗教をウィルスのように言ったのは見事でした。「注意しろ。かかるやつはかかるし、かからない奴はかからない」。世間の目ってあんな感じだよね。
雄三おじさん - 大友康平さん
もうちょっとうまくやれれば、、、、ねえ。
↑ 書いてて、私はカルト宗教否定派なんだと気づきました。
基本的に「俺に害を与えないならいい、無理な勧誘してきたら迎撃はする」のつもりなんだけどね。
海路さん - 高良健吾さん 昇子さん - 黒木華さん
「ここにいるのは自分の意志のようで、宇宙の意思に突き動かされた結果」←ずるい
こういわれちゃうと、集会に行かないのも宇宙の意思ってことになっちゃうじゃないか。
こんなこと言うやつに口げんかで勝てる気がしないから距離を置くしかないかなぁ。この判断ができるのは、目の前にその人がいないからでしょうね。その価値観の中でずっと育ってきた人は逃げるっていう選択肢さえ浮かばないんだろうな。
「お前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな」と言って話し合いをやめるしか手はないです。
詐欺話の真相は気にならなかったですね。
まーちゃん - 蒔田彩珠さん
二世信者さん。
最終的には姿をくらましたけど、彼女の中にも相当な葛藤がありました。
雄三おじさんの作戦に乗ってみたり、ハサミを向けてみたり。
それでも家族の絆は切れませんでした。ちゃんとお別れを言いに戻ったり子供ができたことを連絡してきました。
なべちゃん - 新音さん
劇中で一番フラットな人。
春ちゃん - 赤澤巴菜乃さん
二世信者さん。
保健室で普通に信者同士の話をし始めたのは驚いた。
ちひろの父 - 永瀬正敏さん、ちひろの母 - 原田知世さん
白い布を頭の上にのせている姿にこれを思い出した。
占い師に騙されて、恋愛成就の儀式を行うキャリアウーマンさん。頭に鶏肉を乗っけてます
エドワード・ファーロング
ターミネーター2の子役の人です。かっこいい。
物語の感想
冒頭で物語を信用し、
108分とは思えない情報量で
最後まで見入りました。
施設内でお母さんと会えないだけで妙な不安感に襲われるのを私も感じました。それぐらい入り込んでました。
言葉で表現しない部分が多く、主題を際立たせてました。
言い出せばきりがないほどの描写が画角の中で表現されています。
- 基本的な照明の明暗の使い分けは見事でした。
- 回想シーンではよさげな家にいるのに、現代では安そうなトタン屋根の家で生活しているのは、相当な額を宗教に突っ込んでいるのが分かります。親の二人が来ていたジャージもまーちゃんの中学生時代のそれかもしれないですね。
- タオルを頭にのせる行為こそ宗教の象徴。両親が先生に、頭おかしいやつと言われたときに拒否りました。でも、ちひろがタオルを頭にのせているシーンってないですね。
- コーヒー。宗教から否定されているコーヒーをちひろが飲んだのは、家出した姉と、法事後の雄三おじさん一家と話しているとき。それ以外でちひろがコーヒーを飲むことはありませんでした。
- 風邪。お父さんお母さんは金星のめぐみを飲んでいるから風邪をひかないそうです。ちひろは中盤で風邪をひきました。終盤ではお父さんがくしゃみをしました。
お父さんがくしゃみをして、ティッシュを求めました。頭にのせるのかと思ったら、普通に鼻かんでポケットにしまいました。お父さんたちも信じているというよりは信じていたんでしょうね。
あ、書いてて気づいた。ちひろがタオルを頭にのせているシーンってない。
ちひろがちゃんと信じているなら、タオルを頭にのせながら勉強しているシーンがあってもいいんですよ。それがない。
ちひろは信じてないわけじゃないけど信じているわけでもない。カルト宗教の教えが生活するための普通の価値観なんでしょうね。
星を見る家族三人
本作の最後は施設からでて、家族三人で星を見に行きます。
そこで彼女らは一緒に流れ星を見つけることはできません。両親は一度に流れ星を見ることができますが、千尋は一緒に見ることはありませんでした。
両親には両親の、ちひろにはちひろの、宗教との付き合い方があるってことでしょうね。あ、あと、まーちゃんにはまーちゃんの。
カルト宗教というと外側から否定的に論じられることが多いです。
二世信者が発表するドキュメントも脱信者が書いたものが多く否定的に書かれることが多いです。
まさに、雄三おじさんのような目線のものが世の中には多いです。
本作はどちらでもなくどちらでもあるような肯定的否定的な作品でした。すごく新鮮でした。
話がそれます
最後に行った施設はすげーな、数百人が泊まれる宿泊施設まで完備してるよ。どこかの施設を借りてるのかね?それとも自前なんですかね?全国集会?関東集会?
いずれにしても国内有数のカルト宗教集団ですね。
あの数の人数に「その考えは正しい!俺も同じ意見だ!」と言われたら、それがその人の常識になるわなぁ。
これをもっと大きくしちゃえば国に、、、、危険思想になっちゃうかな?オウムやISISといっしょになっちゃうかもしれない。
昔は創価学会さんの施設に行く臨時駅があったそうです。
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私はプラシーボ効果を信じています。
赤ちゃん時代のちひろに「金星のめぐみ」は効果があったのは確かなんでしょうね。水の硬度がぴったりだったのか、ミネラルの種類と濃度が体にあったのかは分からないけど。
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昇子さんのやってたオーラの色が見えるってやつ、本当に見える人がいるそうですよ。むかし、土建屋の経理君をやってた時に、現場の方に見える方がいました。その人に色がかかって見えるんだそうな。
昇子さんが本当なのかはわかりませんが、その人の言っていることは信じています。それでマウントとか商売とか始めるんじゃなくて、オーラが見えることが酒飲んでる時の話題ぐらいにしか考えてないんだもん。そりゃ信じるよ。
星の子のベストシーン
映画のキモ
法事の後の喫茶店で雄三おじさんの提案を断るちひろ
雄三おじさんたちは洗脳を不安視して解きたいと思ってます。
ちひろはおじさんたちが考えていることを理解していて、両親のそばにいることを選びました。
冗談
講堂に集まった人たちと、焼きそばを作っているときにマスクしてないなぁ。と思ってた。
コロナ渦の昨今、もうマスクしていないことに違和感さえ感じるようになってきました。
ほかには
「カッパかと思った」
男はバカ。
でもかっこよかった。そのあとで女子二人が取り合いしちゃうほどかっこよかった。
さらに
壇上で正しいことをすると宣言するおじさん
あ、正義マンが誕生した、と思いました。
きれい・かわいい・色っぽい
今から気持ち悪いことを言いまーす。引け!
まーちゃんの置いて行ったジャケットにそでを通すときの芦田愛菜さん。
私の中では「マルマルモリモリ」の頃の芦田愛菜さんのまんまなんですが、このシーンの芦田愛菜さんは女性らしいラインでした。、、、ああ、気持ち悪いって言えよ、ちくしょー!!
タグと評判
タイトル:-星の子-
監督:-大森立嗣さん-
脚本:-大森立嗣さん-
俳優:-芦田愛菜さん- -岡田将生さん- -大友康平さん- -高良健吾さん- -黒木華さん- -蒔田彩珠さん- -新音さん- -赤澤巴菜乃さん- -永瀬正敏さん- -原田知世さん-
星の子 の評判
4.13/5.0 (yahoo映画 2020/10/09)
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