こんにちは。フレデリカです。
- キャスト:本木雅弘さん、竹原ピストルさん、藤田健心さん、白鳥玉季さん
- 監督:西川美和さん
- 脚本:西川美和さん
- 公開日:2016/10/14
- ジャンル:人生・日常
- 上演時間:124分
- レーティング:R12
映画『永い言い訳』の見どころポイント
- 陽一(竹原ピストルさん)と真平(藤田健心さん)の対比
- 陽一(竹原ピストルさん)の存在力と説得力
- 喫茶店での幸夫vs岸本は見ごたえがありました。
では『永い言い訳』のネタバレ感想です
映画『永い言い訳』の評価は70/100
衣笠幸夫(本木雅弘さん)は理屈バカだった。人の言葉を素直に受け取らず、必ず裏があると斜に構える。
妻の夏美(深津絵里さん)が旅行先で亡くなった時、周囲の目だけを気にして形式美的に悲しんで荒れた。
大宮陽一(竹原ピストルさん)は妻を亡くした悲しみで立ち止まったままだった。
幸夫は妻の失った虚しさも実感も涙もないまま、陽一の家の留守番を申し出た。
私はいい年してますが戸籍がまっさらです。テーマがテーマなので感想が思いっきりずれている可能性があります。
派手な映画じゃありません。序盤は幸夫の嫌な性格と「こういうのを相手は求めているんだろう」という行動がよかったです。CMでも使われている花見で暴れるシーンも、「相手は俺を怒らせようとしているらしいから怒ってやろう、そうすれば普通の人間に見えるはず」という計算でしょう。
喫茶店で岸本(池松壮亮さん)との話し合いが見事でした。仕事よりプライベートのことを重視しようとしている幸夫に対して、岸本が寄り添おうとすると、幸夫は拒否する。
陽一(竹原ピストルさん)と真平(藤田健心さん)のぶつかり合いは熱かったですね。お互いにぶつかる相手がいてよかったよ。
感想を書いてみたらほとんど大宮家のことしか書いてませんでした。
観察者(幸夫)視点だけど、メインは陽一と真平なんですね。
夏子のことや幸夫の心の整理に時間を使うことはほとんどなかったですからね。
もう一歩考え込んでみました。
東京ポッド許可局 松丸友紀さん
陽一がトラックの中で聞いていたのは東京ポッド許可局です。
西川監督がゲスト出演してます。18:00あたりから。
ところで上のyoutubeの画像でマキタスポーツさん以外の人の顔って初めて見ました。こんな顔してたんだね。
マキタスポーツさんはダークネスとしての顔がインパクトあります
スタッフロールに松丸さんも書いてありました。テレビの中に出てたのかな?
あいつの成れの果て?
朝、「何者」を見ていたので、「世の中を斜に見れば俺は上等な人間!」こと拓人が成長すると幸夫になるかなーと思いました。”その言葉の裏にはこんな意味があるだろう、俺はわかっているんだぞ”と相手を無意味に嫌な気持ちにさせます。相手を嫌な気持ちにさせてでも自分が立場的にマウントすることの方が上なんです。
私もそういった人間です。最近は見透かしたようなことを言っても誰も幸せにならないと思って黙ってます。そうすると何となく気づいてました。
相手は本当に思っていることを言葉を組み替えてオブラートに包んで言っている?いやいや、人はそんなに私に配慮したり私のことを注視したりしてませんよ。思ったことを口にしただけ。発した言葉以上の意味も以下の意味もないよ。
拓人が大人になったらこの映画の”幸夫”になるようになるのかなと思いました。
喫茶店の幸夫と岸本
岸本(池松壮亮さん)がビジネスライクだと思ってました。タレントとしても名が売れて文章も書ける幸夫を重宝してて機械的に売り出そうとするもんだと。
CMにも入っている「奥さんが亡くなってからちゃんと泣きましたか?」の言葉が出てくるシーンですが、ずいぶんと見ごたえがありました。
最初は岸本がビジネスライクに話していて幸夫が大宮家に夢中。岸本が変わってしまった幸夫に苛立ち、観覧者は変わった幸夫を心地よく思うもんだと思いました。私は思いました。それがすぐに逆転します。
岸本が子供の画像を出して自分の気持ちを吐き出します。かなり嫌な言い方してますが男の本当の気持ちの一つでしょう。”子供を育てるのは免罪符”、”バカで下らない俺が子供を育てることで許されていく”。んでとどめの言葉。「奥さんが亡くなってからちゃんと泣きましたか?」。私には岸本がビジネスの関係性を超えて、個人として幸夫に接しているように見えました。ですが家庭面を見せた岸本を幸夫が拒否します。
立場と主張が行ったり来たりしているのが見事だったなぁ。
幸夫の鏡:陽一と真平
大宮家の男ども。
立ち止まったままの陽一
幸夫と違い、妻を亡くした悲しみを表に出す陽一。
でもそこで立ち止まってた人。
ところで、前を向くために亡妻を忘れなくちゃいけないって感じになってましたが、”忘れずに心にしまっておくこと”と”前を向くこと”は両立すると思うよ。言い回しの問題なのかもしれないけど。
鏑木と一緒になると決めたとしてもガラケーに残っている音声も消す必要はないと思うけどなぁ。
前を向こうとしている真平
幸夫と同じく、母を亡くしたときに涙が出てこなかった真平。泣いているとーちゃんをみて自分は泣かないと決めてしまっているようでした。
とーちゃんの頭の悪さにイライラする年頃ですね。
電車の中で真平に話す内容は見事に幸夫に跳ね返ってこれます。
陽一が子供がいない方が楽だとおもってしまったこと、真平が残るのはお父さんよりもお母さんの方がよかったと思ってしまったことがあること、夏子が「愛していない、かけらも」と残したこと
これらのことがすべて乗っかったいいシーンでした。
先生!ちっちゃいよ!でもそうだよね!
大宮家で邪魔者”鏑木”が来て灯の誕生日を祝った日、幸夫は不機嫌でした。
幸夫先生、ちっちゃいよ!この前まで、「ちょっと距離を置く」とか言ってたくせに具体案を向こうから提示されたら不機嫌になっちゃうなんて小さすぎるよ!!
でもわかるよ!私もこちら主導でやめる算段を立ててるときは未練を感じないのに、現実に「この現場は来月で終了です」と言われて受動の立場になると急に先のことが不安になるよ!
けど、当たっちゃだめだよ!
R12指定なのはこのシーンのせい?鏑木が気を利かせて席を恥じさせてほしかったけど、鏑木の存在そのものがトリガーになってて、内容が子供たちのことだから動けないよなぁ。
子供たちに聞かせたくなかったなぁ。鍋が煮詰まっていっているけど動けないよ。
陽一の拳
陽一は粗野で乱暴者っていうことが登場シーンで印象づけされているからいつ手を出すかドキドキしてました。
竹原ピストルさんの強面を使った物語の深さを見せつけられましたね。粗暴さに見え隠れする純粋さが見事でした。
いつ暴れ始めるかドキドキしてました。
幸夫が週2で子供の面倒を見ることのを申し出た時
黙ってにらんだだけで何を言っているかわかったような気がしました。「俺が一人じゃできないと思っているのか」「そこまで入ってくるな」。この辺がテーマになってもおかしくはないんですよ。その葛藤を見ている側に勝手に想像させておいて、承諾した姿を見せて、ホッとさせる。
帰ってきたときに一家団欒していた幸夫達
幸夫が真平や灯と団らんしているときに返ってきた陽一。黙って状況をにらみつけました。子供を取られる不安や自分の家で主のように空気を支配する幸夫に危機感を感じているように見せてました。その葛藤を見ている側に勝手に想像させておいて、酒を出して、ホッとさせる。
陽一の緩急は笑いを誘うものではなく、途中経過の説明のショートカットです。描くテーマが違うから、普通なら葛藤するところに時間を割くわけにはいかない。表現が見事だったなぁ。
幸夫が酒を飲んで荒れた後
子供の前で暴言を吐き倒した幸夫、さらに当日不倫をしてたことを聞かされる。とうとう殴るか!?という状況でも殴りませんでした。
殴った理由と殴った相手
惚れた女の悪口を言った息子でした。
亡妻と息子。二人を守るために奮った拳でした。
けど陽一の気持ちは真平に届かず、言い返されて立ち尽くしてしまいました。
キーワードの一つが「拳は守るときに使うもの」なのに一切そんなことに使われない映画(笑)
映画『永い言い訳』のCAST
衣笠幸夫(津村啓) - 本木雅弘さん
衣笠夏子 - 深津絵里さん
最初に出てきて、後はイメージ映像として出てきてました。
大宮陽一 - 竹原ピストルさん
大宮ゆき - 堀内敬子さん
あまり出てきません。
綾瀬はるかさんの先輩役でした
大宮真平 - 藤田健心さん
お疲れさまでした。二番目に僅差の三番目の主役でした。
大宮灯 - 白鳥玉季さん
お疲れさまでした。「幸夫くん、がーんばれ!」
岸本 - 池松壮亮さん
敵役かと思ったら、そんなに簡単な役回りじゃありませんでした。
喫茶店のシーンやそこまでの雰囲気つくりは見事でした。
宮沢りえさんに貢がれまくったのに、あっさりと若い女に乗り換えました
いい体してました
福永 - 黒木華さん
幸夫の愛人。去り際に幸夫の内面を一言でバッサリ説明してくれた人。
黒いパンティを脚にひっかけたまま、幸夫に乗っかられていたのもエッチィかったけど、それよりもエッチかったのは幸夫に人差し指で胸を丸く撫でられている姿っす!
生徒たちに事件を報告するときに、自分の保身から話を始めちゃったまだまだ新米さんです。
鏑木 - 山田真歩さん
幸夫の心をかき乱して、起承転結の転のトリガーになった人。
主題歌とサントラとか関連グッズ
主題歌 とサントラ
原作
監督さんと脚本さん
俳優さん
映画『永い言い訳』のまとめ
- 陽一は竹原ピストルさんにしかできないんじゃないかってぐらいはまってました
- 子供にとって酒に飲まれてしまった陽一はバケモノにしか見えなかったろうな
- 陽一vs真平は見ごたえがありました。
映画『永い言い訳』のベストシーンとセリフシーン
ベストシーン
愛人と迎えた朝に、服の上からおっぱいのラインをなでるシーン。
いやらしかったねー!
他には
家庭に入ってくる幸夫を”入りすぎだ”とばかりに黙った後の陽一の緩急
怖かった。
セリフシーン
(”名言”だったんだけど、正確に書き起こせてないから変えました)
電車の中で真平に諭すシーン。
人の気持ちは揺れるもの。そう思うこともあるけど本心ってわけじゃないよ。
奥さんが残した下書きメールに直結する言葉なんだけど、どこまで自分自身に伝えられたのかねぇ
映画『永い言い訳』の評判
3.72/5
yahoo映画より(2016/10/16現在)
否定的な意見を持っている人も一定の星を出している。
モっくんを軸に見ると不完全燃焼。子役は文句なく好印象です。
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監督:-西川美和さん-
俳優:-本木雅弘さん- -深津絵里さん- -竹原ピストルさん- -堀内敬子さん- -藤田健心さん- -白鳥玉季さん- -池松壮亮さん- -黒木華さん- -山田真歩さん-
もう一歩考え込んでみました。