フレデリカ LOVE 邦画<ネタバレ>

内容を知っている方だけどうぞ。ネタバレで感想や評価を書いています。たまに批評・解説になっちゃっているところもあり。

映画『名探偵コナン ゼロの執行人』90点/橘鏡子の愛とプライド

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こんにちは。フレデリカです。

名探偵コナン ゼロの執行人 作品情報

名探偵コナン ゼロの執行人 の3つのポイント

  • コナンの力の源は、いつだって蘭
  • それぞれの正義
  •  ↑ 返答「思いあがるな!!」

 

その1

www.frederica-movie-review.com

全体感想- 評価:90/100

見たいものと+αが盛りだくさんでした。

  1. 新一を渇望する蘭と答えるために必死になるコナン
  2. 安室の謎感と暗躍とかっこよさ
  3. ポアロの日常(スーパーでの安室たちの会話のことね)
  4. 少年探偵団の日常
    (博士の家で発明品をいじって遊ぶ)
  5. 頼りになる哀ちゃん
  6. 姿と目的がはっきり見えなかったけど、最後に目的と主義がはっきりわかる敵。
  7. 小五郎と恵里

それに加えたα

  • 安室(謎)と安室(味方)
  • 絡み合うそれぞれの正義と違法作業
  • 巻き込まれた橘の答え
  • 少年探偵団の活躍(実は日本を救った)

始まりから終わりまでが二時間という映画という特性上、やりたいことは一つ二つにしておかないと、つまらないものになってしまいます。たいていは「やりたいことはわかるけど、表層をなめているだけで深さはない」ってことになります。

テレビアニメというバックボーンがあるとはいえ、これだけのやりたいことを詰め込むとは、、、、、すげえな。

 

物語にかかわった深さとそれに対応するキメシーン

オープニングを務めた博士と少年探偵団とドローンは警視庁に落下を食い止めました。

物語を回した恵里は、小五郎のおっちゃんから「俺のそばから離れるな」と言われました。

風見と日下部は物語の本題そのものでした。

謎の弁護士として現れた鏡子は、錯綜する”正義”の被害者でした。警視庁屋上の場面は今年トップレベルの名シーンです。

 

このバランスって難しいんですよね。

よくあるのは、前半で活躍していたあいつが後半では、画面に映っているだけになっているのが不完全燃焼とか

前半に語られてもいないやつが後半に出てきてラスボス顔するとか。

 

物語に関係した濃度に対して、相応の結末を作るってかなり難しいと思うんですが過不足なくできてました。すげーな、、、、。

 

唯一、報われなかったのは新一を求める蘭ですが、、、、ま、それはいいんじゃない(笑)

 

名探偵コナン ゼロの執行人のクライマックスでのキック力増強シューズ

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そこまで練ってきて積み重ねたものがあってこその迫力でした。日下部に対してキック力増強シューズを使ったのはこの時の説得力を上げるためでしたか。

 

ちょびっと深読み-前置き.正義という言葉の心地よいいびき

完成したものを俯瞰的に見られるからの感想です。制作側が作っているときに、明確に潜在化していたかはわかりません。

 

映画のテーマとシンクロする福山雅治のメインテーマ

www.youtube.com

本作は福山雅治さんが歌うようにいくつかの正義が出てきます。

 

日下部の正義

自分に大きな権力が欲しかったのではなく、公安に負けない力が欲しかった人。

公安の言いなりになっているんじゃ、自分の部署が存在する意味がないんですよ。対等に対抗馬にならないとだめなんですよ。

てんぱってしまって、とうとう実力行使に走りました。公安に忖度しまくる女上司を攻撃したり、警視庁にコロニー衛星を落とそうとしてみたり。

羽場の正義(おまけ)

彼の正義は少し怖い。司法試験に受からなかったのは危険思想じゃなくて能力不足・適正不可だったんでしょ?深く語られないけど、おそらく一番狭くて凶暴。自分にしっかり軸があるというよりは、誰かに対する狂信に近い気がする。最初は法に対する狂信、次は日下部に対する狂信。従っていることに安心する人。

彼の立ち位置がこの物語で一番無理があるところなのかもしれない。

 

安室・風見の正義

日本を守るためなら法を破ってもいいと考えている人たち。そのために人民を操ってもいい人たち。ひょっとしたら、ポアロの女の子もそうなっていくかもしれないんですね。(ないだろうけど)

日本を守るためなら法を破ってもいい

「日本を守るためなら法を破ってもいい」。考え方としちゃありっちゃありなんですけどね。法律とは大多数の人間が他人と生きるとき、他人と摩擦を少なく生きていく道しるべです。節度がある少数の人間なら法律の枠から少しはみ出てもいいんじゃないかとは思います

たとえばね、速度制限50kmの道は50km/hでしか走ってはいけません。それは全員が50km/hで走っていれば、運転レベルが最低の人も安全に走行できるということです。法律としてはすべての人に平等でなくてはいけないので運転レベルが高いの人でも50km/hまでということになります。

安室・風見の考え方は「俺は運転レベルが高いと(自己判断じゃなくて)認められいるから100km/h出してもいい。対向車があったら速度を下げる節度も持っている」ってことになります。(安室は100km/hを出す代わりに別の何かを周囲に還元しなくちゃいけないと考えているようですが)

 

※あ、一応言っておきます。私のような一般ピーポーが「法を破っていい事態」になることは絶対にないことは認識しています。

 

法を破っていい少数派になった選民意識

みんなが守っている法を気にしなくていい立場になった結果、周囲より上位の存在になったと錯覚しました。

風見はその意識が顕著でした。安室にも同じ意識があったようですが、制御しようと頑張っているようでした。

 

ちょびっと深読み-本題.正義という言葉にある驕り-橘鏡子の愛とプライド-

選民意識を持っているという意味では日下部も、敵対していた風見・安室も同じです。

 

警視庁の屋上で、すべてを知った鏡子に風見は言いました。

「橘鏡子、あなたを協力者から解放する。あなたはもう自由だ。彼に会いたいなら、、、、」

その口調に日下部も安室も違和感を感じていませんでした。

誰も上からモノを言っていることに気づきませんでした。

 

自分の信じる正義を広域に使った結果

鏡子は差し出されたメモをはたき、叫びます。

「思いあがるな!!」

鏡子は羽場の連絡先を聞かずに去りました。

羽場との関係は公安の思惑の中で生まれた関係です。羽場との関係を続けることは「勘違いしているバカどもからの施し」を受けることになってしまいます。
だから、鏡子は羽場を捨てました。

彼らの選民意識と正義はまっすぐに否定されました。

 

そして最後に残るもの

正義がすべて否定されました。その中でしっかり背骨を持っていたものがありました。

 

カジノタワーに向かい中で蘭を思うコナンを見て、自らの正義が否定された安室はいいます。

「愛の力は偉大だな」

純粋に感動したのか、自らが否定されて嫉妬から嫌みが言いたくなったのか。

 正義も法律も違法行為も、人間や人間たちが生きるための術でしかありません。すべての術は愛のためにあります。

 

「正義よりも強いもの、それは愛」。それがテーマで作られた映画ですね。

 

このシーンを見て私が思うこと

俺もこんな彼女が欲しかった!

  ↑ ちょっと照れてしまって、笑いの方向に逃げようとしてます。

 

名探偵コナン ゼロの執行人 のベストシーン

映画のキモ

鏡子のラストシーン。二三一の居場所を教えてもらってハッピーエンドかなと思っていました。

 

その時の鏡子の絶叫。びっくりした。

「思いあがるな!!!」

私は「しまった!」と思いました。鏡子の言う通りです。しまった、流されるところだった。

 

冗談

小五郎のおっちゃん家の再会を園子が写真に収めようとしている際、フレームの中にこっそり入ってきて、園子に「邪魔」と手で追い払われる高木刑事。

 

エロ(とは少し違いますが、、、、)

小五郎のおっちゃんが言った頼もしいセリフ

「俺のそばを離れるな!」と言われて、赤くなる英理。

かわいかったです。

 

 

 

 

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