映画『愛がなんだ』85点/育てたゾウに求めるもの
こんにちは。フレデリカです。深川麻衣さんの名前でほいほい見に行ったら良作でした。問題があるとしたらミニシアター系の良作ってこと。ミニシアター系の良作って文章にまとめるの大変なんだよ、、、、。
愛がなんだ - 作品情報
作品情報
- キャスト:岸井ゆきのさん、成田凌さん、深川麻衣さん、若葉竜也さん、江口のりこさん
- 監督:今泉力哉さん
- 脚本:澤井香織さん
- 公開日:2019.04.19
- ジャンル:青春
- 上演時間:123分
- レーティング: G
あらすじ&鑑賞前感想
猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない・・・。
深川麻衣さんを見に行きました。私は「坂道村」*1の村民なので聖母マイマイは一般常識ですが、普通の人は朝ドラに出ていた人ですかね。朝ドラを見ていなかったんですが、そこそこのキーマンとして出ていたと聞いています。
んで監督の今泉力哉さん。うちのブログとしては深川麻衣さん主演の「パンとバスと二度目の初恋」ですね。
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この映画も見て受け取ったものを明文化するのに苦労したっけなぁ(笑)
本作「愛がなんだ」はテアトル新宿でロングランしてます。今日の18時の席が12時は一杯になってたんじゃないかな。「混んでいるところ」と「”予約”をはじめとする準備行動」が苦手でな私としては、どうしたもんかなと思ってたら近所の映画館でやってました。イオンシネマ妙典では普通に入れました。千葉が田舎なのか新宿がおかしいのか。
ここから先は 愛がなんだ の感想です。ネタバレしてます!!
愛がなんだ - キャラクターと俳優
テルコ・マモル以外はテルコの一面を強くした人かなと思ってました。ですがそういう配役ではないみたいです。
テルコ:岸井ゆきのさん
セクシーシーン多めの岸井ゆきのさんでした。画面のインパクトのためとかではなく意味のあるシーンだったと思います。でも上で腰を振られているときもおっぱいを出さなかったのは事務所からOKが出なかったのか、見ている側の焦点をエロ方向に倒しきってしまうと伝えたいことがぶれてしまうと考えたのか。
テルコはマモルが好きだったのか?ちょっとわからないですね。好きは好きだったんだけど、それに引っ張られて会社を辞めちゃうほど好きだったのか?本人は好きだったということにしたかったようですが。
少なくともマモルがテルコを見ていないのをテルコは最初から気づいています。「スキの反対は嫌いではなく無関心」ですが、その無関心です。
その決定的な出来事はゾウの前で「会社を辞める」といった時のマモルの反応ですね。テルコは人生の一大決意をして暗に同棲したいと言いました。
マモルの反応はYesNoではなく、テルコの問いに気づかない。気づけるほどちゃんと聞いていない。「会社を辞める」への返事は「俺、33歳の時になったときに野球選手じゃなくて象の飼育員になろうかな」というどうでもいいことでした。
マモルにとって自分はどうでもいい存在なんだ。それに気づいたテルコは涙が止まりませんでした。
マモル:成田凌さん
テルコを都合のいい女扱いしていたことに本気で気づいていなかったんでしょうね。ちゃんと「便利な女だ」と認識していたら、靴下を整頓されてイラっとすることはあっても、それで追い出したりはしない。
”便利な女”扱いをしていたことを葉子に指摘されたら認識を改めてテルコに別れを切り出す程度には常識人。ま、「葉子、お前が言うな」というツッコミは置いておくとして。ただし、根本がバカなので、テルコの悲しいウソには気づかない。
後述しますが、マモルはいい加減なだけじゃなくて、マモルのテルコへの入り口はテルコと同じなんですよ。
葉子:深川麻衣さん
すみれの言う通りヤな女。葉子とナカハラの関係はマモルとテルコの関係のナレの果てです。ナカハラがキレイゴトとして言っていましたが、長い関係の中で気づかないうちにナカハラをないがしろにしていい関係になってしまってました。
最後のシーンでナカハラに会いに行った葉子。どういう結論になるかは描かれなかったのでなんとも言えないですが、尽くしてくれていたナカハラにちゃんと向き合って結論を出すことでしょう。
テルコは関係者との縁を全部切ってしまい、一人ぼっちになりました。それでも(気持ちがつながっていない)マモルにしがみつこうとしています。が、葉子だけはテルコのそばに残ってくれましたね。わかりにくいですが、マモルに電話したのはテルコが心配だからだしナカハラを探して個展に出向いたのはテルコに言われたからだし。
ナカハラ:若葉竜也さん
葉子を深堀するための要素だと思ってましたが、別荘行きに一人参加したところで驚いた。でも別荘のシーンにテルコがいるのは確かに邪魔でした。
すみれにごちゃごちゃ言われてムカつくのはわかりました。というか私もむかついた。
知らないやつに大上段からぶった切られてムカつかないわけがない。
すみれ:江口のりこさん
テルコの逆のキャラクターを配置したってことだと思うんですが、マモルのフリーダムな部分を進化させたようなキャラクターになってました。マモルと属性がそろってしまうので、テルコとマモルの住む世界が違うのが本作のテーマに見えてしまう危うさがありました。マモルの気持ちを重いと言い出す始末。
あ、中目黒のバーの連中が別荘行きをドタキャンしているのですみれが連中よりもまだましなように見えますが、そんなことないです。すみれもホスト側じゃなければ同じことをしているはずなので。
テルコとの関係としては一つ外にいます。なので解説役などに適していましたが、重要キャラの枠には入らなかったのか、最後の章立てでは出てきませんでした。
どうでもいい話。人の好みはそれぞれですが、年齢的な条件を揃えたとしても私がマモルならテルコを選ぶ。
愛がなんだ - ネタバレ感想 ( 85 / 100 )
ココがクライマックスなんだろうなというシーンが目白押しでした。一挙手一投足がい逃せない。
ここが本作の肝なんだろうなというシーンがあとからあとから出てきました。疲れた。
どのシーンからだろう。すみれを紹介されたシーンあたりからかなぁ。
すみれを紹介されたシーンはマモルがテルコに興味がないとはっきりと言われたシーンだと思った。
エッチ(未遂)の後のピロートークはマモルが自分のことを吐露して、復活したけど結局Hしなかった。
4人で行った別荘でテルコ(パスタを食べてる)とすみれの会話しているとき。
本当の山場は寝込んでいるテルコにマモルがうどんを作ったシーンでしょう。にんじんをつまみ口に運ぶ前に落とすテルコの姿に何かの暗喩かと思うほど集中してました。
テルコがマモルを追いかける理由
最後の描写でようやく私なりの答えが出ました。
みなさん、パチンコはしたことあります?スロットでもいいです。競輪・競馬・FXでもいいですがたぶんパチンコ・パチスロが一番わかりやすい。
5千円つっこんだら、3千円つっこむのは問題なくなりません?そしたら八千円の負けになって取り返すために1万円を突っ込む。それでも出ないからATMで3万円下ろして勝負する。
パチンコをやらない人からは、「そこでやめろ、5万円ちょいはあきらめろ」と言います。けど、費やした時間と金を考えてみると、それに意味を持たせたいんです。ここでやめたら無為になってしまうんです。
最初は「数合わせで参加した結婚式で何かしら持ち帰りたい。時間の無駄だったと思いたくない」という小さなものでした。テルコもマモルも。それが上記のパチンコで言う最初の5千円(披露宴)と3千円(二次会)です。
金曜日に彼のために時間を作り(1万円)、風呂に入っていたのに呼び出されたら飛んでいき(3万円)、仕事がおろそかになり(5万円)、職を辞めることになってしまいました(100万円)。
なお、マモルも同じような意識がありました。ですが最初の5千円と3千円で勝負から降りたようです。だからこそできた余裕でした。
育てたゾウに求めるもの
ちょっとした出費を取り返そうとしたら人生の大勝負になってしまってました。
引き返せないほどの勝負に勝つのがテルコの目的になってます。マモルの愛は勝負の象徴ですが目的ではなくなっているでしょう。何をすれば買ったことになるのか投資した金と時間と職を取り返したことになるのか。
それでも賭け続けなくてはならない無間地獄に陥りました。
最後にテルコが世話しているゾウはこの勝負そのものです。気が付いたらゾウのように大きくなってました。テルコはゾウが好きではありませんが、それでも世話をし続けなくてはならないのです。勝つ為、せめてプラマイゼロにするために。その結果、クジラのように大きくなってしまっても。
本作のテーマで分かりやすい作品
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これの佐々木希さん演じるAさんが本作のテーマと同じだと思う、、、よ、、、たぶん。こちらは最後に変化があるので、描かれているものが分かりやすいです。
※話はそれますが、Cさんの心情が絶妙です。それが男と寝る理由になりますか、、、、
愛がなんだ のベストシーン
映画のキモ
テルコが象の世話をする最後のシーン
アレがなかったらこの映画を明文化できなかったよ。あれで全部つながったよ。
冗談
なし。思いつかず。冗談というかちょっと話それます。
このシーン、もしくは類するシーンに覚えがないんですが、、、、こんなふうに二人の意識が一致したような幸せなシーンってあった?
始めてマモルの部屋に行くときにタクシーを降りた後なのかな?マモルはテルコを求めたというよりは純粋に性欲を満たしたくなって目の前に女がいたってだけだと思いますが。
(2019/05/07 追記)
わかりました。二人ともおしゃれしててテルコの持っているパンプス?は高そうだ。だから出会いの結婚式二次会の帰りだね。劇中もその前後もおんぶするような距離感になると思いけど。
この時が一番二人の心の距離が近く同じ方向を向いていたころかな?「ギリで行った結婚式で出会いがあった」という。
きれい・かわいい・色っぽい
最初のHをした後に寝返りを打った時に見えた岸井ゆきのさんのお尻。
多分、絶妙に見えそで見えないラインを探して何度も取り直してる。それほど完璧な色っぽいシーンでした。
他にはキスされながら脱がされて現れた岸井ゆきのさんのブラジャー姿。
愛がなんだ の評判
3.7/5.0 (yahoo映画 2019/05/06)
その他
私のこと
12km走ったら、いつものとおり頭が痛くなった。 ちゃんと整骨院にいかないとなぁ
テルコの勝負から降りられない状態。私も昔同じ状態だと思ってました。ただし相手は異性ではなく(かっこつければ)夢。
陰キャである自分の逆転方法に「小説で一発当てること」を選び、完全独学(別名:自慰)で頑張ってました。誰にも見せていない小説(別名:以下略)にしがみついて「小説を書くことをやめたら、今まで捨ててきたモノの意味がなくなる」とか思ってたなぁ。
勝負している品が「誰にも見せていない小説」だし、
今まで捨ててきたモノとは「外に出ずに小説を書いていた」なので
今思えば「新しい一歩を踏み出せない小心者」の言い訳ですな。(←イテテテテ、、、、思ったよりも自分の心に突き刺さった)