こんにちは。フレデリカです。全てがきれいに絡み合って今の時点で今年ベスト。原作・アニメ・ドラマの全てを見ていないのに面白かった。
公開劇場数少ないのかな?私のホームのコルトンプラザTOHOシネマに来なかったから、TOHOシネマ錦糸町まで足を延ばしました。(走ったら二時間かかった)
賭ケグルイ - 作品情報
作品情報
あらすじ&鑑賞前感想
創立122年を迎える私立百花王学園。この伝統ある名門校で生徒の階級を決めるのは“ギャンブルの強さ”。勝者には地位と名誉が与えられ、敗者は財産も尊厳も奪われる。この学園に、一人の少女が転校してくる。彼女の名は蛇喰夢子。一見するとお淑やかなこの美少女は、いかなるリスクもいとわない常軌を逸したギャンブル狂だった。学園を支配する生徒会は、夢子を危険な存在と判断し、百戦練磨の刺客を送り込むも次々と撃破。学園は夢子を中心に大きく動き出そうとしていた。生徒会はついに、全校生徒を巻き込んだ百花王学園史上最大のギャンブルバトルの開催を宣言する―
(鑑賞前感想と言っておきながら見た後に書いてます。ついでに私は乃木オタです)
監督は英勉さん。うちのブログとしては2本。
- 映画『あさひなぐ』のネタバレ感想と評価/70点(乃木坂46補正込み)/白石麻衣さんの美しさと生田絵梨花さんの天才性
- 映画『未成年だけどコドモじゃない』/70点/「わたしにそっくり! 」から入って、尚の気持ちをつかむところまで見事でした!
あさひなぐは乃木坂46のファン映画でした。その中で乃木坂関係の方が二人残っているのはファンとしてうれしい。
私としては英勉さんといえばライムスター宇多丸さんが酷評してた映画がついて回ってしまうのですが、そのあと見た映画はしっかり満足しているわけだし、その色眼鏡はそろそろ取り外さなくては!
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んで、上に()書きで書いた見た後に書いてるってことにつながるんですが、
映画を見る前の私の知識は原作がマンガだってことだけでした。しかもなんでだかシグルイやドリフターズと同じ箱に入ってた。時代劇バトルものだと思ってました
アニメ化、さらにはドラマ化して2Seasonやってたってことを知りませんでした。
その上での感想です。それでも満足できてしまったのだからすごいことだと思う。
ここから先は 賭ケグルイ の感想です。ネタバレしてます!!
賭ケグルイ - キャラクターと俳優
蛇喰夢子:浜辺美波さん
劇中で彼女の目的ははっきり表現されませんでした。ま、それはドラマで提示されていたんでしょう。
話の中心のはずだし、実際に軸に回っている。けど、周囲のキャラが濃すぎ。こう書くと彼女が埋もれているように見えるな、、、、、確かに主人公なんですよ。
ギャンブルで駆け引きも確かなのもわかりました。
和やかで緩やかな立ち振る舞いの奥に、きっちりとした計算が見え隠れしてました。それが良い計算か打算かはわかりませんでしたけど。
浜辺美波さん、見事でした。
全員のテンションが上がる中で冷静に状況を見極める夢子。
犬八十夢:伊藤万理華さん 鈴井涼太:高杉真宙さん
主人公の夢子が感情を隠している分、感情を爆発させる役割の二人。
犬八十夢:伊藤万理華さん
犬八十夢は原作にはいないみたいです。学校の異分子なのに思考が裏表のないまっすぐなところがすごく心地よかった。
伊藤万理華さんが小さな体で仲間を圧倒し、ヴィレッジの集会所で叫んでいるときのパワーはすごかった!あの体で表現する説得力はなかなか演じきれるもんじゃないよ。舞台で感じる演者の生のあの熱を感じたよ。
乃木坂46時代の伊藤万理華さん。かっこいい歌唱の後の最後のトンが好き。
見ていた時はヴィレッジとつながるのが早すぎるかなと思っていました(その後の展開に圧倒されてそれも吹き飛びました)が、ドラマのseason2で暴れまくったんでしょうね。
鈴井涼太:高杉真宙さん
主人公が超然としているので、読者や視聴者が気持ちをリンクさせる触媒。ちょっとうるさかったけど、あんなもんでしょう。
歩火樹絵里:福原遥さん
村雨天音:宮沢氷魚さん
ヴィレッジチーム。すっかり騙されたよ。
歩火樹絵里:福原遥さん
えーと、、、福原遥さんは、昔はまいんちゃんと言われていた大きなお友達から神がかり的な人気を得ていたお方ですよね?普通ならそこでお調子に乗っちゃって努力を忘れて失速していくのが普通ですよね?なんだ、あの表現力は!?
すっかり騙されました。役割としては伊藤万理華さん演じる犬八と対だと思ってみてたからなぁ。ギャンブルが全てという体制に対する見ている側の心を犬八は動で表現して歩火は静に表現していると思ってたよ。
歩火は最初から行動原理が間違えていたのは夢子の指摘通り。会長は忠実な僕を求めていたわけじゃない。それが分からないのが憐れて仕方なかったです。
私側として残念だったのが、登場シーンでした。反ギャンブル派の彼女がなんでギャンブル絶好調の夢子に話しかけるのかは引っかかったんですよ。「主人公が目の前にいるのに話かっけないわけがないよな」とシナリオ上の都合で私は処理してしまいました。それが最後に聞いてくるとは、、、簡単に消化した自分がちょっと悔しかった。
村雨天音:宮沢氷魚さん
スタンド使い(もしくは念能力使い)だったので少し興ざめしました。が、その後展開はそれがメインじゃなかった!彼の強さの裏付けにちょっと使っただけでした。
よかったのはギャンブル能力が高いのに歩火にまるっきり気づいていなかったこと。私の中には否定しきれない価値観として「一芸に秀でてた人間はすべての面について秀でている」があります。理屈ではそうじゃないのはわかっているつもりなんですが、思想がそっちに偏ってしまっている。村雨はその私にある矛盾を突いたキャラクターでした。
あまり感情を外に出さないキャラクターでほぼしゃべりません。が、歩火に裏切られて心底驚いていること、歩火の思惑を外そうとしている夢子の思考を受け取って歩火を潰しにいっていること。全部が伝わってくるんですよ。
お姉ちゃんが村雨の救いに絶望したのはなんででしょう?遊火と同じように会長に心酔したから?
木渡潤:矢本悠馬さん
ギャグパート。ちょうどよい緩急の緩でした。
桃喰綺羅莉:池田エライザさん 五十嵐清華:中村ゆりかさん 夢見弖ユメミ:松村沙友理さん
生徒会チーム。
桃喰綺羅莉:池田エライザさん
ほぼ動かない人(笑)
何よりも素晴らしいのは、自分の意と違う遊火の忠誠心に何も言わなかったことです。肯定も拒絶もしていない。つまり「こいつが何考えていようがどーでもいい」。その不遜な姿がラスボス感、いや、裏ラスボス感までありました。ドラゴンボールで言えば悟飯たちがナメック星についた時点でフリーザ最終形態が座っているような威圧感。
通常の私なら、彼女と夢子が戦わないことに文句をつけるはずなんですけどね。ほかの色々がすごすぎて全く気になりませんでした。
五十嵐清華:中村ゆりかさん
進行に徹して感情を表に出さない美しいディーラー。その佇まいとふるまいが本当にきれいでした。
だからこそ二度の舌打ちが印象的でした。
夢見弖ユメミ:松村沙友理さん
まっつん、ごめん。いた?生徒会室で点呼をとっているときにまっつんの声は聞こえたきたのは確認した。でもそれ以外は、、、、。どれかをまっつんと認識できてないのかな?1シーンで声が確認できたんだから、他のシーンで声が変わって登場していることはないと思うんだけど、、、。
賭ケグルイ - ネタバレ感想 ( 90 / 100 )
女優さんたちの狂気が見事でした。
浜辺美波さんの冷静さ、伊藤万理華さんのまっすぐさ、福原遥さんの聖女ぶりと豹変、池田エライザさんの不遜感、中村ゆりかさんの中立性
上記までに散々書いてきましたが、何よりも女優さんたちがよかった。美しいということではなく、キャラクターが乗り移っているような、求められたものに対して1.5倍マシで表現しているような、すべてのシーンで熱を感じました。熱を伝えるって目の前で演者さんが生で演じても難しいのに、スクリーン越しに熱を感じられるってのはすごいっすよ。
ヴィレッジの決起
生徒会が立ち上げたギャンブル大会に対して、犬八は参加を促します。その熱さが伝わってきました。その中の夢子の冷静さも伝わってきました。夢子が見ているのは歩火。疑惑が確信に変わった目ですね。
この時点で「この無茶苦茶な設定の中で、私は熱くなっている。物語が失速しなければ、もう80点以上確定」と思いました。
このシーンのダブルミーニングがああまで深いものだとは思わなかったよ。
こっからは後半のステージごとに。
第1ステージ
ルール聞いた瞬間にすぐにわかったし、鈴井に女子生徒が寄っていったときにどうなるか分かったけどね。
20枚ないとクリアできないんだから19枚持ちと1枚持ちは対等に勝負ができる。んで1枚しか持ってないけど、勝利すれば19枚もらえるんだから、最後に一回勝負すればいい。
夢子のカードは、鈴井にはパーを持っているといったけど、本当はグー。
、、、、だろうな、と思いながら見てたんですが、後ろでうなっている声が聞こえました。映画見すぎて先の展開を読んで悦に浸る映画過多状態に陥っているかな?
第2ステージ 一戦目
実はまともなギャンブルバトルってここだけだったりします。
今までの人生で見てきたマンガや小説の知識(主に「アカギ」と「銀と金」)を総結集してどう流れるか考えてたんですけどね。
序盤が肝だったとはっきり認識したのは、最終ステージ直前でした。くそお、、、。
それとギャンブルの内容が天という漫画の「ナイン」に似ててちょっと涙が出た。
アカギがマージャンが分からなくなった日。
第2ステージ 決勝
大騒ぎして場を支配する歩火と静かに場を制御する夢子の戦いは感情をどこに持って行っていいかわかりませんでした(笑)。だって、どっちも負けようとしているんだもん。んで負けた先に求めるものがないことが確定しているんだもん。
訳が分からない状態なのに手に汗を握ってみていたのはやはり女優陣の熱い演技のせいでしょう。各々の立ち位置から発する存在力のぶつかり合いとそれのミックスアップ*1はスクリーンから目を離すのを許してくれませんでした。
ジョーカーの存在
ゲームとしての盛り上げ方はジョーカーの使い方が肝です。「7」の替り。「7」がバッティングした時の「6」 。このゲームをやったらそこまでは普通に発生します。
ジョーカーを使って負けたときが福原遥さんの顔芸(笑)のMAXでした。ジョーカーが物語でちゃんと機能してました。
んで、映画館を出る前に思ったんで、ギリで「初見の感想」に入れたいんだけど。*2
ジョーカーが二枚出たところで相殺という扱いを受けてます。ジョーカーを出した瞬間じゃなくて数字を提示した瞬間の方が深い駆け引きがあったんじゃない?ま、あの場面は福原遥さんの顔芸の方が楽しみになっていたので、ギャンブルの深さはどうでもいいと思いますが。
学校という舞台
やっぱり学校って枠はいいよね。
人数が絞られる。大使館並みの治外法権。独自ルールを見る側が飲み込みやすい。表現していることが非現実的なのに「学校」ってだけで親近感。関係者が目的に対してやり方が未熟でも見ている側は飲み込む。
そして何より、生徒の価値観が統一されてない。
会社が舞台だと価値観はなんとなく「会社のために」「給料のために」「生活するために」などで大まかには1ベクトルに価値観が集約されます。
けど学校は違う。「大学に行くために勉強」「部活で全国へ」「帰ってゲームしたい」「たくさんの女の子と仲良くなりたい」などなどで生徒それぞれで重要視している価値観が違います。
舞台の私立百花王学園はそれらをうまく使ってますね。
生徒会の自治があり、生徒会がギャンブル重視という独自ルールを作る、それらに反するがギャンブル重視の撤廃を強く要求していない犬八たち愚連隊。
そして犬八たちのように道をそれていても退学は死と同価値です。でも本当に死んじゃうわけじゃないから見ている側はそこまで深刻に受け止めなくて済む。
日本人の中にある小さくて雑多で未熟な場所「学校」。物語の舞台としてちょうどいいんでしょうね。
この世界を成立させた妙
それにしたって、見ている側に飲み込ませるには努力が必要でしょう。余りにおかしな設定では笑われておしまいです。
本作で言えば、学校の本流からはみ出てしまったヴィレッジが学校の隅で自給自足の生活をしているように見えます。それって夢子や鈴井が学校から家に帰って炬燵に入って煎餅を食べている姿を表現すると、一気にリアリティがなくなってしまいます。
ヴィレッジは寝泊まりしているような雰囲気だけど、寝泊まりや食事のシーンは描かれていません。そこまで描いちゃうとリアリティがなくなっちゃうから。
その辺のバランスが見事で、この無理のある異様な設定に違和感なく入っていくことができました。
中途半端に設定にリアルさを出そうとして失敗した映画。「米軍基地が役に立たなかった」
www.frederica-movie-review.com
穴もある
単品映画として見た場合(私はそう思って見始めたので)、いくつかの穴はあります。見ているときは表現されている熱で「んなこたあどうでもいいんだよ!」状態になっていたのでどうでもいいんですが。
夢子の行動動機・村雨のお姉ちゃんの自殺理由・夢子と会長の直接対決。この辺はあってくれてもいいと思いましたが、決勝は手に汗握っちゃってたからなぁ。やっぱりどうでもいいかも。
賭ケグルイ のベストシーン
映画のキモ
本性が現れたときにはじめてあらわになった歩火樹絵里(福原遥さん)の右目。
それまで髪に隠れていたのに、右目が現れたんですよ。その目が狂気で怖いくらいでした。
冗談
負けた瞬間にお花キレイの世界に逃げ込む木渡潤(矢本悠馬さん)
きれい・かわいい・色っぽい
超然として静かにしている主人公に対し、大暴れしている伊藤万理華さん。
まっすぐで元気いっぱいの姿が頼もしくもありかわいくもあり。
賭ケグルイ の評判
3.95/5.0 (yahoo映画 2019/05/04)
その他
私のこと
私のマンションからTOHOシネマ錦糸町までは12km。行きは走りました。帰りも走ろうかと思ったんですが、座席から立った時に足が震えたので電車で帰りました。
がんばれば平気で往復する体力とかできるんだろうか?