スパイの妻を見てきました。第77回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)受賞作品。
平日の真昼間に見に行ったんですけど、たくさん入ってました。
最初の方でポップコーンの音がうるさく、
中盤に入るとビニール袋をしゃわしゃわしている音を注意してやろうかと思いました。
最後は静かでした。そのお客さんも集中してたのかな。
スパイの妻
作品情報と鑑賞前感想
- キャスト:蒼井優さん 高橋一生さん
- 監督:黒沢清さん
- 脚本:濱口竜介さん
- 公開日:2020.10.16
- ジャンル:社会の裏側・犯罪・裏社会
- 上演時間:115分
- レーティング: G
あらすじ&鑑賞前感想
一九四〇年。少しずつ、戦争の足音が日本に近づいてきた頃。聡子(蒼井優)は貿易会社を営む福原優作(高橋一生)とともに、神戸で洒脱な洋館で暮らしていた。身の回りの世話をするのは駒子(恒松祐里)と執事の金村(みのすけ)。愛する夫とともに生きる、何不自由ない満ち足りた生活。 ある日、優作は物資を求めて満州へ渡航する。満州では野崎医師(笹野高史)から依頼された薬品も入手する予定だった。そのために赴いた先で偶然、衝撃的な国家機密を目にしてしまった優作と福原物産で働く優作の甥・竹下文雄(坂東龍汰)。二人は現地で得た証拠と共にその事実を世界に知らしめる準備を秘密裏に進めていた。
第77回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)受賞作品。
わたしにとって俳優さんたちはこんなイメージです。
蒼井優さん - 作品のためなら脱ぐこともできる本格派女優。価値観は独特らしく山里亮太さんを選んだ人。(←山里亮太さんヘイト)
高橋一生さん - 肉体派俳優。
東出昌大さん - やっちまった人。今年の正月前後に不倫が発覚し、夏ごろに離婚しています。
私の中に色々と余計なフックがある人たちですが、ノイズにならないことを祈りながら見に行きます。
ここから先は スパイの妻 の感想です。ネタバレしてます!!
スパイの妻 - ネタバレ感想 ( 55 / 100 )
タイトル「スパイの妻」の音感から「旦那はスパイだけど、妻はそれを知らない。でも妻は気高く旦那をフォローする。その姿に感動する」というお話だと思っていました。
違いました。
キャラクターと俳優
福原聡子 - 蒼井優さん
華族とかのいい家に生まれて、何一つ苦労することなく成長し、能力の高い旦那をあてがわれた温室育ち。価値観が半径5mぐらいまでしか届かない。
満州のフィルムは彼女の意識改革をしましたが、実用レベルまではたどり着きませんでした。
蒼井優さんを見ていると、ちらっと山里亮太さんが脳裏をかすめてました(笑)
福原優作 - 高橋一生さん
趣味の映画つくりという金持ち道楽のために満州に行ったら、コスモポリタンの使命に目覚めて帰ってきた人。FFなんかの世界を救う系ゲームの主人公ですね。「世界に危機が迫っているんだから、既成の組織同士で争っている場合じゃない」とわめく役。
、、、などと書いてますが、本作はこの人の心の揺れがすべてですね。
周囲を固める方々
津森泰治 - 東出昌大さん
スタッフロール的に止め前(止めは笹野高史さん)。
聡子に惚れているという設定だったので、「優ちゃん逃げてー超逃げてー」と思ってました。
よく言われているような棒演技感は感じなかったけど、秘めた恋心感もなかったかなぁ。一応、津森に秘めた恋心があったからこそ、優作が密航の密告が成り立つんだけど円。津森が聡子にひどいことはしないだろうという計算が。
竹下文雄 - 坂東龍汰さん
聡子の”女性”の部分に殺された人。まだ計画が何も発覚してなかったんだから、囮にされて拷問される必要がなかったよね。むしろ、軍部の中では噂程度だったかもしれない告発計画が具体化されて、同行した優一のマークが強くなる原因になりかねません。
聡子がなぜ密告したのか。優作が自分を見てくれないからにほかなりません。優作の浮気にかかわっている可能性があったのも許せなかったんでしょうね。
整理すれば浮気は一つもないと聡子にもわかるはず。なんだけど、聡子は頭の回る子じゃないからごっちゃになってたんでしょうね。
草壁弘子 - 玄理さん
殺されたのは、本当に本筋とは関係ないんでしょうね。
「うお!?満州では愛人と一緒だったんかい」と思わせておいて、次の登場シーンでは死んでた人。作品的にはわき役なのにストーリー上はスーパーキーマン。この役周りの人がいる作品が好きです。
使命があったはずなのに痴情のもつれでころされてしまうとは、不憫な。
物語の感想
蒼井優さんにスパイの妻感がないのが本題です
じつは本作を見た後、レビューを書き始めるまで二日が経過しています。その中で、ちょっと考え変わりました。
優作の使命と聡子の覚悟
優作が満州から帰ってきたとき、聡子は自分と優作のことしか考えていませんでした。「優作が愛してくれていれば世界が消滅しようとかまわない」。状況や人によっては素晴らしい言葉となりますが聡子のそれは世間知らずのお嬢ちゃんの言葉でした。
それが満州のフィルムを見て意識が変わります。
聡子は
惚れた男がやりたいことを後押しするために賛同したのではなく、
コスモポリタンとして使命を感じて優作に賛同したんです。
優作にとって聡子はどこまでも”守る”対象でした。決して同志ではなかったんですね。
タイトルの「スパイの妻」よろしく、聡子が優作の主旨に賛同しているのではなく愛しているから手助けがしたいなら、優作が密告して聡子を安全な場所に逃がすのはわかる。
でも聡子は志を同じくしているつもりだったのに踏みにじりました。それが見た直後の私は許せなかった。物語のどんでん返しのためだろうとそれはなかろうと。
聡子は意識が変わりました。ですが、それは実働に耐えられるレベルではなかった。二手に分かれて移動しようと計画をした時に「離れるのが嫌だ」と言いました。まるで子供のようでした。
優作は全てをお膳立てしました。しかし聡子が一人で密航してNYに向かう最中に、すっごい簡単なアクシデントが発生しても対処できないでしょう。
優作の中で「守りたい:聡子には無理」が「3:7」ぐらいの比率で密告する判断をしたのかもしれません。
聡子はスパイやスパイの妻にはなれませんでした。
なんでこんなに芝居がかっているの?
昭和初期の映画やドラマを見ると妙に芝居がかっています。たぶん、演劇舞台の文法をそのままドラマに持ってきている影響だと思います。
作り方の問題であって、昔の人たちがあんなに芝居がかった言動をしていたとは思えないんですよ。
現代で作った昭和初期なんだから、今の映画の文法で作ればいいのであって、昔の映画の文法で作る必要はないと思うんですけどね。
関東軍のペスト作戦
本当にあった話です。優作の存在までは私は調査しきれませんでしたが。
被験者を”丸太”と呼んでいたそうです。最近のジャンプ漫画でマッドサイエンティストを”丸太”と名付けて炎上したのは記憶に新しいです。
作品とは関係ない話:ペスト
人類は紀元前からペストと戦ってきました。
爆発的に広がったのは、戦争中にペストで死んだ兵士を敵の城塞都市に放り投げたかららしいです。その都市の住民は貿易商が多かったため、ヨーロッパ中に旅をしていたので広まったとか。
スパイの妻 のベストシーン
映画のキモ
質屋から出てきた優作に監視していた聡子が話しかけてきた。
非日常のドキドキを楽しんでいるような聡子に 「この子にはちょっと無理だね」と判断を決定させた瞬間かも。
冗談
密航時に美しい白の上着を着ている聡子
闇に潜まなくちゃいけないのに目立つ白の上着(笑)。その配慮のなさは聡子のスペック的に秘密行動は無理。それを画で表現してくれました。
きれい・かわいい・色っぽい
日本についた時に聡子に抱き着かれる優作を見つめる弘子(玄理さん)
愛人ずれだったのかよ!と思った分もプラスされて、きれいでした。
タグと評判
タイトル:-スパイの妻-
監督:-黒沢清さん-
脚本:-濱口竜介さん-
スパイの妻 の評判
3.53/5.0 (yahoo映画 2020/10/24)
その他
最近の世の中
2020.09
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2020.10
私のこと
前の現場の飲み会に読んでいただきました。ありがたい。