楽園追放 - 作品情報
作品情報
あらすじ&鑑賞前感想
ナノマシン技術の暴走で地上文明が崩壊してしまった「ナノハザード」[3]によって、廃墟と化した地球。人類の98%は地上と自らの肉体を捨て、データとなって電脳世界「ディーヴァ」で暮らすようになっていた。
西暦2400年、ディーヴァは異変に晒されていた。地上世界から謎のハッカー「フロンティアセッター」によるハッキングを受けていたのである。そこで捜査官アンジェラは、生身の身体・マテリアルボディを身にまとって地上世界へ降り立ち、現地の地上捜査員ディンゴと共にフロンティアセッターと世界の謎に迫る。
ベタなタイトルをつけたなぁというのが最初に抱いた感想でした。
確かアダムとイブがエデンの園を追い出された時の話で絵画もあったよなぁ。
ここから先は 楽園追放 の感想です。ネタバレしてます!!
楽園追放 - キャラクターと俳優
アンジェラ・バルザック - 釘宮理恵さん
「16歳という容姿と釘宮理恵さんの声という幼さ」と「ディーヴァでのし上がる向上心と広い視野という大人さ」のアンマッチ感。
CGでアンジェラは動いてたのかな?周囲の絵とはテイストが違っていました。その違和感をうまく使っていて、抗菌されている世界から現世に出てきた感じが出てました。
主人公なのに見ている側と同期するのではなく違和感として機能するアンジェラ。
人の概念を軽く揺さぶるのに十二分でした。
商品化されたフィギアなどを見ると、アンジェラの胸派とお尻派に分かれているらしい。
過激な水着ような衣服で中東のドヤ街みたいなところにいるアンジェラ。おかしく感じるぐらいのロリ顔巨乳です。たまに揺れます。
コクピットではバイクにまたがるようなカッコになって、アンジェラが水着みたいな姿です。お尻を突き出したような格好になります。
私は、、、、んー、、、、胸派かなぁ。というか、お尻が胸ほど演出されていると思えないんですよ。
ディンゴ - 三木眞一郎さん
達観しているようで、そうでもない人。
ディンゴのディーヴァに対する距離の取り方や扱い方が絶妙です。
雑談的に自分の意見は言うもののアンジェラに頭ごなしに否定されてもどうでもよさそうでした。まさにビジネス相手であり、価値観の一致の可能性はすでにあきらめてるんでしょうね。
でもフロンティアセッターが賛同してくれた時は心底嬉しそう。
強い怒りも大きな笑い声もないのに、人間臭さを感じさせる絶妙さでした。
フロンティアセッター - 神谷浩史さん
彼がさわやかなのは、スタートが「好きとは何か」から始まったからでしょうね。「あいつが憎いとは何か」から始まってたらラスボスまっしぐら(「ラスボスも被害者でやるせないラスト」タイプ)。
「人」って出会った人達で形成されるものですね。
フロンティアセッターの方がアンジェラよりも人間味を感じてしまいました。
ひょっとしたら大企業で頑張って働いている人(ディーヴァ)よりも、フリーランスでいろんなものを見ながら生きている人(フロンティアセッター)に、生き生きとした姿を垣間見ただけかもしれないけどね。
楽園追放 - ネタバレ感想 ( 80 / 100 )
虚淵玄さん、さすがだ、、、。人と何かというテーマをこんなにわかりやすく提示してしまうとは。
私はマドマギしか彼の作品に触れていませんが、噂の虚淵玄さん、さすがだ、、、。
中盤にあったディンゴの持論が、すんなり入ってきたのは見事でした。
持論だけを聞かされても「おっしゃりたいことはわかりますが、、、、」になります。でも本作ではアンジェラとフロンティアセッターの対比により、すごく飲み込みやすくなってました。すげえ。
巨大になりすぎて自身の価値観を絶対となってしまったディーヴァ。まさに夜郎自大。その狭い価値観の中で出世しようとしていたアンジェラ。ほかの価値観や世界を肌身で知っていたディンゴとフロンティアセッター。
アンジェラが惹かれていくのは必然だったのでしょうね。
ディーヴァに見られる行政の困難さ
本記事を書いてて気づいた本作が意図していないテーマ。
人類の98%を抱えるディーヴァ。
人類は、アンジェラのような向上心が高いもの・ディンゴのように自由意思をはっきりと持つもの・ディーヴァ保安局高官のような能力が高いもの、ばかりではありません。
劇中でアンジェラが言っていた「システムに寄与できないものはアーカイブされるしかない人」がほとんどです。
本作がそうであるように、物語としてはアンジェラやディンゴのような強い意志を持つものが是とされて、「システムに寄与できないものはアーカイブされるしかない人」は否定されます。
ディーヴァが人類維持装置であるなら、「システムに寄与できないものはアーカイブされるしかない人」を全部アーカイブしてはディーヴァが存在する意味がない。
私個人は「日々を平穏に暮らせればよい」というまさにサイレントマジョリティーであり、「システムに寄与できないものはアーカイブされるしかない人」側です。
物語では、向上心がない奴として切り捨てちゃえばいいけど、行政としては切り捨てられない。市役所の人は提案したことに「そういうの、いいんで、、、、」と拒絶されても、拒絶したその人のために頑張らなくちゃいけない。
行政って大変ね。
自分で書いててよくわからなくなってきた。ま、物語と現実の行政を同じテーブルに載せる時点でどうかしているんだけどさ。
生き方・働き方
すこしだけ、「がんじがらめの大企業(ディーヴァ)で出世欲を満たすよりも、フリーランス(地上)で好きなことやって楽しく暮らした方が幸せよん♪」にも見えました。
だとしたら、価値観は人それぞれ、って結論になります。
それがわかっているから、ディンゴは自分の価値観をアンジェラに押し付けないし、アンジェラの価値観を否定もしない。
ただし、どちらも強者の理屈かもしれないです。自身の能力にそれほど自信のない人たちは地上で頑張るよりもディーヴァの端っこで与えられたメモリで平穏に暮らした方がいい。
、、、、と、「勤めていた20人規模の会社が倒産した流れでフリーランスになったフレデリカ」は思ってみました。
ディンゴのようにはっきりとした大企業否定の意思をもってフリーランスをやっているわけじゃないんだけどね。
楽園追放 のベストシーン
映画のキモ
ディンゴがフロンティアセッターに「セッションしようぜ」と嬉しそうに語り掛けるシーン
価値観の凝り固まったアンジェラよりも、ディンゴが好きなものに理解を示したフロンティアセッターの方が「人間ぽいね」となった瞬間。
他には
フロンティアセッターの「仁義を切る」
牢獄のアンジェラの前でやったそのしぐさがカッコよくもありかわいくもあり。
冗談
地上に出た時のアンジェラのCG感。
すこし昔の「汚れ一つないきれいで滑らかなCG」でした。前述したようにその表現に意味があるとは思わなかったよ。
きれい・かわいい・色っぽい
アンジェラが歩いているときにたまに揺れる胸。
いつもでもなくリズミカルにでもなく、たまに揺れます。
楽園追放 の評判
3.94/5.0 (yahoo映画 2019/02/02)
その他
私のこと
釘宮理恵さんの声は、私にとって「龍が如くの遥」ってことで決定したようです。見ているときもちょいちょい遥が頭の中をかすめてました。