ネタバレなし感想
映画の広告と映画の冒頭がラストの大どんでん返しに照準を合わせてきている映画でした。
- 最後の5分全てが覆る。(広告)
- あなたは必ず2回観る。(広告)
- 最後をしゃべりたくなりますが、話さないでね(映画冒頭)
映画が始まる前に「オチを人に話すな」なんて水野晴郎さんのシベリア超特急を代表されるように残念な結果に.....。
ラスト5分までドラマがダラダラ続きます。特に中盤はびっくりするほど、ちんたらやってくれます。ま、ラストの5分のために見ましょうと思いながら見ました。
んで、ラストの5分とやらを観た感想
- やりたいことはわかった。問題はその先じゃね?
- 確か読売テレビ製作だったな?この内容をあんなふうに広告するなんて、テレビ屋さんはあおり方がうまい。
- フジテレビが作った脳内ポイズンベリーはきれいなつくりで映画館を出て喫茶店でコーヒーが手元に来るまでぐらいなら話が続くと書きましたが、この映画は映画館を出るまで話が続かない気がする。
- 今年のワースト5候補です。
以下、「イニシエーション・ラブ」のネタバレ感想です。
小説なら見返していたかもしれませんね。映画のラスト「5分」は小説で「2行」らしい。あんなに丁寧にネタバレしてないのかな?
ラスト5分の衝撃
そういうことだというのは分かりませんでした。が、分かったところで「あっそう」でした。
劇中でキーだと思っていたのは
ぐらいかなぁ。
製作側が用意していたヒントは
- 男女七人夏物語
- CCB全盛
- 流行曲
あたりかな?年代ならともかくそんなに細かく覚えてないよ。「あれ?CCB全盛や流行曲は1988年ではなく1987年だったはずだ!」なんてどれだけの人が分かるでしょう?
追記:劇中のヒントだけで分かった方々がいるので引っ込めます。 私が気づけなかったからって、もっとヒントをよこせ!はおかしいよね。しかも少し的をはずしている気もしますし。
ようするに今の男と前の男が鉢合わせてしまった。女はなんだかんだでしたたか。ってこと何ですが、そこから先は?修羅場は!?客を脅かして終わり?
男のロマン主義と女の現実主義
指輪を送ったスーさん(松田翔太さん)はなんだかんだで誠実です。ついでに言うと「一度俺にほれた女はいつまでも待っている」とおもっている男です。さらに言えば、名前を間違えちゃうアホです。
一方で、マユ(前田敦子さん)は、スーさんとの関係がダメになると悟ったら、次のための行動を始めて、妊娠中なのに合コンに参加し、次の男を物色しています。次の男を「たっくん」と呼びます。
全てのファンに「しーちゃん」とあだ名をつける篠田麻里子さん
ちなみにくりーむしちゅーの上田晋也さんは3股時に彼女全員を「みーちゃん」と呼んでいたらしい
ラスト5分の見せ方しだいではどうにかなった?
上にも書きましたが、映画のラスト「5分」は小説で「2行」らしい。映画のほうが丁寧すぎるんですね。「あなたは必ず2回観る」はずの要素をすべて解決して終わります。ゆうきくんの方のクリスマスのときにあれだけ「1987年」のネオンがでかでかと出していたんだから、最後はネタバラしせずに「1987年」のネオンで終わればよかったんじゃないかなぁ。それでも、「そっから先は?」っていう不完全燃焼は残りそうですが。
小説と映画は違う媒体です。小説は好きなときに前のページに戻れますが、映画はそうじゃない。小説とは違うヒントの出し方しても良かったんじゃないの?
- スーさんがアインシュタインに詳しいとか(演劇のときにそんな話してたっけ?)
- もっと突然、車が変わるとか(12月から7月に話が飛び、就職して買い換えたように見えた)
- スーさんがまゆの家で本を投げたときにをもっとタイトルを見せるとか
- ハイレグ水着は着ちゃっていいと思う。(そうすると清楚系の顔が崩れるかな?)
- ブラウン管に移るCCBはTV番組で同じ映像が流れてたってことかな?
追記:劇中のヒントだけで分かった方々がいるので引っ込めます。 私が気づけなかったからって、もっとヒントをよこせ!はおかしいよね。
色々考えましたが、結局これに返ってきます。”「そっから先は?」っていう不完全燃焼は残りそうですが”
あまり本筋に関係ない話
- 時間を前後させるのに明確に教えない方法
叙述トリックというらしい。この技術を使ってみたかっただけ作った作品ではあるまいな? - 美弥子(木村文乃さん)の前カレで劇団を主宰している天童さん(池上幸平さん)ってのが出てきますが、何しに出てきたのか分からないほど影が薄いです。
天童さんは原作のこだわりです。小説「イニシエーションラブ」は乾くるみさんのタロットシリーズの一つ。タロットシリーズには必ず天童太郎さんが出てくるそうです。ちなみに劇中で最初に「イニシエーションラブ」という言葉を使ったのは天童さんです。
追記:私はなぜラストに納得いかないのか
みんながすばらしい!と賞賛しているのに、なぜ私は納得がいかないのか。
なんとなくこんな感じで分布しているような気がしてきた
- 叙述トリックにはまった人が4割
「え?何これ!?頭がぐるぐるする!それが楽しい!!」の人たち。申し訳ないですが、私から見るとそれは創作する側の技術にはまっただけですよ。私には「仏像作って魂入れず」状態にしか見えないんですよ。宮本武蔵をクローンで作ったのに魂が入らない状態なんですよ(by刃牙道) - イケメン鈴木くんに感情移入した人が3割
今のイケてる女を捨てて、前の彼女に走ったら、彼女はすっかり気持ちにケリをつけて次に行っていたっていう痛烈なオチ。恋は別名保存 - マユに感情移入した人が2割
前の男を割り切って次の男に行ったのに、前の男が戻ってきた。
私って、もてちゃって困るーなオチ。恋は上書き保存。 - ブサイク鈴木くんに感情移入した人が1割
被害者。何がなんだか分からない。三人のうち、ブサイク鈴木くんに感情移入してしまうと、私のように尻キレトンボにしか見えない。
映画の始まりがブサイク鈴木くん目線なのだから、その後のイケメン鈴木くんが別の人物だと分かった以上、ブサイク鈴木くん目線に戻るのは自然だと思うんですけどね。それとも私が非モテ人生を過ごしてきたから3人のうち、ブサイク鈴木くんを選んだのか?
とにかくブサイク鈴木くんにとっては目の前の状況のわけが分かりません。オチなんかないよ、混乱したまま放り投げられたよ。
4と感じた人「話が完結していない」と思うだろうな。とさっき思いました。
「イニシエーション・ラブ」のみんなの評価
原作の小説は賛否両論。テレビでお勧めする芸能人もいるみたい。
ラスト5分で「こうきたか!」と衝撃を受けたり、そこまでの違和感が全て納得できた!という方も少なくない。女性はすぐ気づく人が多いらしい。
あー、みんな、おもしろかったんだー、、、、、。あのラストを尻切れトンボと思わなかったんだー、、、、。ふーん、、、、。
前田敦子さんの演技力を疑問視する人も少なくありませんでした。
私は特に違和感なく見れたけどね。
前田敦子さん主演。結構好きな作品です。
追記:映画「イニシエーション・ラブ」の蛇足
小説では、美弥子の親に挨拶して、たっくんは美弥子を選んで終わります。わざわざマユとの約束の場所に出向いたりしません。
最後に抱きしめられた美弥子が「たくや(だっけ?)」と名を呼んで終わります。(小説のラスト2行)
映画のendingは当時のアイテムと簡単な説明が流れます。
小説では、あとがきで用語解説が書いてあります。物語のキーポイントになるようなところを太字にしています。
小説の用語解説は、映画のendingで流れていた用語解説とは明らかに意図が違います。
映画は当時が懐かしいねです。
手伝いはするけど、小説は一貫して「自分で気づけ!」です。
小説では最後に三者が一堂に会することがないので、
- イケメンタッくんはマユのことは心の澱のようにまとわりながら生きていく
- マユはとっくに気持ちを切り替えている。
- (ブサイクタッくんは幸せ(前半しか出てこないからブサイクタッくんに気持ちが行くか微妙ですが))
と、なかなか小説らしい読後感で終わります。
全部分かったら「女ってこええ!」となります。
ラストはまた何か始まるような気がしちゃったんだよね、ブサイクタッくんも意識することになっちゃったし。
もやもやが楽しい小説だったのに、それを全部正しく整理してしまった映画。
表現者として、小説とは違う媒体の映画として、何か足したかったのかもしれないけど、あれじゃなかったような気がする。
本編とまったく関係ありませんが、びっくりできる原作者の乾くるみさんの近影。携帯小説が原作なんだろうなと思ってただけにびっくりしすぎて声が出た。
追記
DVDです
見た当時は、展開からおいてかれて、振り回されてた不細工たっくんがかわいそうと思ってましたが、そんなことないか。
別にマユはブサイクたっくんをもてあそんだわけじゃないんですよね。イケメンタックんよりもあっさりと気持ちを切り替えて次の恋に乗り換えただけ。
マユが怖いことには違いないけどね。