フレデリカ LOVE 邦画<ネタバレ>

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映画『輪違屋糸里 京女たちの幕末』50点/監督の加島幹也さんに見る側がなめられてる。なぜ松井玲奈さんの後日談を最初に持ってきた!?/ネタバレ感想と評価

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こんにちは。フレデリカです。

輪違屋糸里 京女たちの幕末 - 作品情報

作品情報

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あらすじ&鑑賞前感想

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 幕末の京都。花街で<島原輪違屋>に身を置く、天神糸里(藤野涼子)。ある日、姉と慕う音羽太夫新妻聖子)は、新選組筆頭局長芹澤鴨に無礼打ちされる。壬生浪の非道に島原は騒然となるなか、その場を収めたのは新選組副長・土方歳三溝端淳平)だった。そして糸里が淡い恋心を抱くのが、土方歳三だった。糸里とは仲の良い桔梗屋の芸妓吉栄(松井玲奈)は芹澤の腹心の平山五郎(佐藤隆太)と恋仲で、お梅(田畑智子)は芹澤鴨塚本高史)の愛人だった。初期の新選組には、近藤勇芹澤鴨という二人の局長が存在していた。両派は対立を深めていくが、それは「百姓」と「武士」という決して超えられない壁でもあった。やがて持ち上がる芹澤鴨暗殺計画。男たちの抗争の陰で翻弄されていく糸里、吉栄、そしてお梅。彼女たちは一体何を見て、何に殉じるのか。そして最後に下した決断とは…

映画『輪違屋糸里 京女たちの幕末』公式サイト

 

幕末、というか新撰組もの。浅田次郎さんの小説が原作。

芹沢鴨の暗殺が中心の話のようです。
この事件をひょっとしたら”本能寺の変”レベルで日本の常識として語られるかもしれませんが、
私は「新撰組は近藤-土方-沖田が背骨で、主導権争いに負けた芹沢鴨っていうのがいる」ぐらいは知っている程度です。
この映画や小説を読む人にとっては常識だから省略してある説明が私は知らない知識かもしれない。

話についていけるか少し不安だったりします。


監督は加島幹也さん。私としては初めましてです。
主演(というかwikipediaで最初に書いてあるキャスト)が藤野涼子さんと松井玲奈さん。

藤野涼子さんは「ソロモンの偽証」で超優等生の主人公を、「グリーピー」でサイコパスの香川さんに精神汚染された役でした。
特に「グリーピー」は”殺したいほど憎い”ということではなく、”ここで殺してあげたほうがこの子のためなんじゃないか?”と複雑な感情をもてせてくれました。好演でした。

 

そしてひょんさん!私にとって特別枠の一人です。

イメージとして「可憐」「清楚」「おしとやか」が似合う彼女です。だからこそそのイメージを壊すたびに爆発力が生まれてます(笑)

 

SKE48の東京進出番組で松井玲奈さんは爆発します。驚いた(笑)

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舞台を見に行ったときに、風俗用語やAV用語を連呼させられてました。ありゃセクハラだよ、鴻上さん。共演してた片桐仁さんは間違いなくオギオギしてたって!(片桐仁さんは本気の中二心を忘れていない方です)

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職場でこれを書いているんですけどね(今の時期は少し余裕があるんです)
原作は2007年にドラマ化されてます。二夜連続。
その時のキャストと今回の並びが少し違います。

<2007年ドラマ化>
糸里:上戸彩さん
お梅:中嶋朋子さん
(間7人)
桔梗屋吉栄:西原亜希さん
 合計18名
 
<2018年映画化>
糸里:藤野涼子さん
吉栄:松井玲奈さん
(間5人)
お梅:田畑智子さん
 合計9名

wikipediaのあらすじを見ると「吉栄」の方が「お梅」よりも多く名前が出ているので、今回の方が原作に沿っているのかな。
wikipediaの中にこんな一説があります。

桔梗屋の芸妓吉栄は芹沢の腹心の平山五郎と恋仲で体を交わす。吉栄は平山の子を宿していた 

 

「恋仲」でいいものをわざわざ「体を交わす」と書いてある。「平山五郎と恋仲で吉栄は平山の子を宿していた」でいいものを、わざわざ「体を交わす」
これは、、、、ひょんさんのおっ〇いが拝めるってことでいいんですか!?(←確定情報じゃないのにググられるのは不本意なのでニックネームと伏字にしてみましたが、〇って伏字の仕方はグーグルはもはや何が入るか把握してそうだよなぁ。)
さぁ、長らく小説界をけん引してきた浅田次郎さんの原作が同映像化されているのか楽しみにしよう!

  

ここから先は 輪違屋糸里 京女たちの幕末 の感想です。ネタバレしてます!!

 

輪違屋糸里 京女たちの幕末 - キャラクターと俳優 

輪違屋糸里の人物相関図

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糸里 - 藤野涼子さん

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wikipediaにありました。

2016年当初は2017年冬に公開の予定だったが[1]、延期され、2年越しとなる2018年12月15日 

 

撮影されたのはもっと前だから3年前。藤野涼子さんは2018年で18歳だそうなので撮影時は15歳ですね。
藤野涼子さんの年齢ではちょっと重すぎる重責でした。今後頑張っていこう。

吉栄 - 松井玲奈さん

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ひょんさんのおっ〇いは拝めませんでした。、、とヨコシマな感覚で見始めて、ゴメン!ってぐらいの熱演でした。

女の一途も狡さも割り切りもすべて表現してました。
物語には、軸の主人公を置くけど描きたいのは隣にいる人という表現方法があります。今回はそれにあたると途中まで思ってました。
藤野涼子さんに傍観性、松井玲奈さんに当事者意識を感じてました。

 

音羽太夫 - 新妻聖子さん

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ちょっとしか出てきてないのに藤野涼子さんを主人公に押し上げた新妻聖子さん。
毅然として「刀を振るうしかない乱暴者と芸を極めた私とでは格が違います」と言った姿がカッコよかったです。

その後は回想で出てきます。
それがしつこくならない回数の回想であり、
決して藤野涼子さんとの「二人の絆」ではなく藤野涼子さんの「強さの根本」になっていました。

新妻聖子さんの存在感はこの映画を成り立たせた屋台骨の一つでした。

 

お梅 - 田畑智子さん

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ドラマ化の時は軸だったっぽいお梅。
事態の中心にいる傍観者で土方側の糸里と、劣勢で討伐される側になってしまった芹沢側のお梅。
描き方によっては面白かったでしょうね。

輪違屋糸里 京女たちの幕末 - ネタバレ感想 ( 50 / 100 )

 

本題に入る前に言いたいこと。

監督の加島幹也さんに見る側がなめられてる。

幕末の勢力図と思想を丁寧に説明してくれたんですよ。その中での新撰組の立ち位置も。大変ありがたかったです。
でもね、時代背景の説明を丁寧にしなくちゃいけないのと、物語の丁寧さは違うでしょ。

なぜ吉栄(松井玲奈さん)の後日談を最初に持ってきた!?

緊迫シーンで一切緊迫感がなくなってました。冒頭のエピローグ(プロローグじゃないです)だからこそ50点でした。

五郎が暗殺されるときに同衾してた吉栄。五郎の盾になろうとしている吉栄を止める糸里。
松井玲奈さんの狂ったような演技には鬼気迫るものがありました
が、五体満足で助かると思ってましたよ。だって映画が一年後の吉栄の姿から始まってるんだもん。

暗殺の手助けをした糸里と吉栄が口封じに始末される瀬戸際の時、音羽太夫から受け継いだ度胸で糸里が土方に言い返します。説得に失敗しても逆上させても殺されてしまうシーンです。
が、殺されずに助かると思ってましたよ。だって映画が一年後の吉栄の姿から始まってるんだもん。

なんで冒頭にエピローグを入れたの!?私が物書きを目指してた頃に結末を最初に書いたことがありますが、展開の自信のなさからでした。展開を予測される前に先に書いておくことで先回りを阻止した気になっていたんです。それと同じ!?
それとも冒頭は忘れるとでも思ったか!?冒頭を覚えていたのはオレが松井玲奈さんファンというフックがあったから覚えただけの特殊事例なの!?

そりゃ歴史ものだから吉栄が生き残ったことを知っている人もいるでしょうよ。でもこんな風に明示しなくてよくない!?

最後の最後に太夫になった糸里が道端で手を合わせた時のモブの叫び

音羽太夫が殺されたところだ!!」
わかるよ。バカにしてんのか!
太夫道中に手を合わせるなんて一つしかないだろうよ。音羽太夫と糸里の絆も十分に表現されてたからわかるよ!

わからないやつは、ちゃんと見てないやつだから放っといていいよ!
なんだよ、あいつは。ワンピースのバトル解説モブかよ。
ラストの余韻が台無しだよ。

新撰組の主導権争いの話

さて、映画の構成については言いたいこと言ったので、内容についてに移ります。

事態の中心の一人(本作で言えば志士)を主人公にすると一歩下がった目線を作りにくくなります。
三者の目を作るのに、女性目線にするのは歴史ものではよくあること。

描かれている新撰組についてです。

何で入門するかがずいぶん変わるよね。

本編から少し外れますが、この前置きをしないと話せないっす。

歴史上に人物は最初に触った文献でずいぶん変わりますね。
例えば、私は前田慶次郎という人物は「花の慶次」という漫画から入ったので、利家の妻のまつは慶次と両思いだけど、政略的に利家と結婚したと思ってました。ほかの作品を見ると利家とまつはラブラブですね。

そんな感じで私の新撰組は少年誌から入ってます。
<少年誌:土方歳三は剣の達人でまっすぐな人>

<大人向け?:土方歳三は謀略の人>

私のデフォルトの土方歳三は少年誌なので、本作で描かれている”謀略の人”に意識を変えるのに少し時間がかかってしまいました。


どれも独自解釈が入っているので鵜呑みにしてはいけない作品たちです。
ですが、ほとんどは「近藤-土方-沖田」ライン側が正しく主軸として描かれています。芹沢鴨は出てきたとしても不義をして粛清されてます。

本作で認識を改めました。”泥沼の主導権争いに近藤ラインが勝っただけでどっちもどっち”

「1人殺せば殺人者100人殺せば英雄」とはよく言ったもの

上記の通り、私としてはかなり美化された新撰組を見てきましたが、京の町の人々には迷惑この上ない。「触らぬ神に祟りなし」状態。

こんだけサクサク人を殺してきた連中が現代で英雄視されたり物語になったりしているんだから「1人殺せば殺人者100人殺せば英雄」とはよく言ったものだよなぁ。

芹沢鴨土方歳三

土方の狡猾さに芹沢が追い詰められていきます。土方の影が芹沢に襲い掛かるシーンは威圧感がありました。

中盤で糸里がウキウキで土方に会いに行ったのに、平間と同衾しろと言われます。
糸里は土方が自分を道具としてしか考えてないことを知り、遊郭の女としての覚悟を決めます。
糸里としては重要なシーンです。さっきまでウキウキだったのに能面のような顔になったのが悲しいです。

なんですが。
この物語の最大の謎、なんで糸里が平間に抱かれる理由は?それで土方や芹沢に何の益があったのか?

wikipediaで見つけました。特に意味はないらしい。

平間と糸里の仲を取り持つよう難題を持ちかけたのは、土方を怒らせた上で腹を割って話し合うきっかけをつくるためだったのだが、土方が簡単に受け入れてしまい芹沢の方が戸惑っていた。 

 目論見が失敗した時点で芹沢もやめろぉ!そんなヘタレなこと言い出せないほど仲悪かったってことかなぁ。自分の体を張ってないチキンレース。最低ですね。

土方がなりたかった侍

それになるために現実的な手段を探していたら、目指していたものと遠く離れたものになってしまった。
最初は希望と改革に満ちてたのに、気が付いたら票集めに奔走するだけになっていた政治家みたいですね。
会津藩に取り入るだけの存在。

暗殺に使った道具を始末しようとしたとき、「お前は違う」とはっきり言われました。芹沢が音羽太夫に言われたように。
最後に土方たちは裃姿で会津藩の殿様に頭を下げてますが、それはなりたかった侍なんでしょうかね。
糸里の方がよほど立派でした。

吉栄

糸里に対して、
 土方を悪くいってみたり
 男を守るために土方に打診してもらおうとしたり
男が水揚げ代を作れず子を守ることを選べない自分から、夢を取るふりをして自分を守ってみたり
身重の体で男を助けようと無我夢中になったり。

静かに覚悟を決めていく糸里に対して、複雑な胸の内を二転三転させてます。それだけに暗殺時の半狂乱の叫びが胸に刺さる、、、、はずだったんだけどね。最初に後日談を提示されては。
それでも松井玲奈さんの熱演もあって私の意識が画面に飲み込まれたシーンでした。(ファンの欲目かもしれませんが)

 

藤野涼子さんには、まだ難しかったんじゃないっすかね。

一方の糸里。土方に最低な裏切られ方をされまくって太夫として生きていく覚悟を決めました。約束なんか信じないでしょう。

でね、彼女の見せ場が最後に畳みかけるように連続します。

  1. 暗殺現場で土方に食って掛かる(怒りに身を震わせる姿)
  2. 会津藩で土方を袖にすると殿様に歌で報告する(公儀での姿)
  3. 殿様に謁見後、土方と話す(愛しい人を他人と割り切った姿)
  4. 太夫道中(本業の姿)

演じ切れていたかというと微妙ですね。もちろん下手ではなかった。標準以上だっと思います。ただ10代の女の子には難しすぎでもあります。つーか、演じ切れる方が日本に何人いるか?ってレベルの高難度じゃない?
藤野涼子さんには勝手に努力賞を差し上げたい。

 

「はい」の四段活用。榊原良子さんの技術が光ります。

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輪違屋糸里 京女たちの幕末 のベストシーン

映画のキモ

暗殺に使った道具を始末しようとしたとき、土方に向かって糸里が叫ぶシーン。
謀略で立場を作った土方は、自身が目指す侍とは別の到達点に来てしまい、糸里に捨てられました。

冗談

冒頭で糸里と将棋を指しているご隠居。勝っているときは嫌な奴だったのに、奇跡の一手が決まった瞬間に好々爺に(笑)

冗談とは少しずれますが、将棋を指した後に糸里が店に走ります。その走りにくそうなこと!
現代日本の特徴の一つが「きめ細かな技術」ですが、
日常に履くズボンを開発できなかったり、室内にいすを置くことと応じた高さの机を作ることを思いつかなかったんだよなぁ。バカな民族だと思いました(盛大な自虐)。

きれい・かわいい・色っぽい

松井玲奈さんの長い首。
あんなに色っぽいもんかね!?(ファン心理)

輪違屋糸里 京女たちの幕末 の評判

2.0/5.0 (yahoo映画 2018/12/19)

私も高い点をつけてないけど、2ってこたあねーよ。二人しか投稿してないので偏っちゃってますね。

その他

私のこと

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監督:-加島幹也さん-

脚本:-金子成人さん- 

俳優:-藤野涼子さん-  -松井玲奈さん-  -溝端淳平さん-  -佐藤隆太さん-  -新妻聖子さん-  -石濱朗さん-  -榎木孝明さん-  -田畑智子さん-   -塚本高史さん-