フレデリカ LOVE 邦画<ネタバレ>

内容を知っている方だけどうぞ。ネタバレで感想や評価を書いています。たまに批評・解説になっちゃっているところもあり。

映画『jam』75点/これほど緊張感のあるコンサート描写を見たことがない。/ネタバレ感想と評価

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こんにちは。フレデリカです。

ド平日のラス回で見ました。私以外は女の子の二人ずれが二組ほど。エグザイルを見に来たんでしょうね。

 

jam - 作品情報

作品情報

ldhpictures.co.jp

  • キャスト:筒井真理子さん  青柳翔さん 町田啓太さん  鈴木伸之さん 
  • 監督:SABUさん
  • 脚本:SABUさん 
  • 公開日:2018.12.01
  • ジャンル:社会の裏側・犯罪・裏社会
  • 上演時間:102分
  • レーティング: PR12

あらすじ&鑑賞前感想

www.youtube.com

 刑期を終えたテツオは、自分を刑務所送りにしたヤクザに復讐をするため、カナヅチを持って事務所に殴り込む。横山田ヒロシはおばさま方に人気の場末の演歌歌手。ある夜、熱烈なファンの昌子の差し入れのスープを飲んだ後、意識を失って倒れてしまう。恋人が意識不明のタケルは、自分が善いことをすれば彼女の意識が戻ると信じ、人助けをするために毎日町を車で流していた。倒れたヒロシを見つけたタケルは、昌子の家にヒロシを送るが…。 

jam-アクアシティお台場 

 登坂広臣さんを輩出したエグザイルの演技部門の物件ですね。

エグザイル映画といえばHigh&Lowが最初に思い出されますが、今回は3人の物語。関連性が全くなさそうな3人がどうやって絡んでいくんですかね。

 

 

ここから先は jam の感想です。ネタバレしてます!!

 

jam - キャラクターと俳優

横山田ヒロシ - 青柳翔さん

♪こんにちは ヒ・ロ・シ! ♪ありがとう ヒ・ロ・シ!

市民ホールでのシーンでは、ちょっとだけ踊りたくなってました(笑)


彼は良くも悪くも歌手としてプロですね。
世間を3周ぐらいしているので、「俺の歌で世界を変えてやるんだ!」という情熱はすでにない。

西野タケル - 町田啓太さん

聖者。市民ホールでは送ってきたヤクザがあの時の強盗犯だとは思ってないかもしれないですね。あの時の強盗犯と重なって悪事を止めようと体が勝手に動いたけど。

冒頭で、タケルの車からおばちゃん(昌子)がフロントガラスを割って飛び出しました。フロントガラスがそんなに脆くないだろうけど、冒頭だし飲み込むことにしました。
クライマックスで、タケルの車から昌子ミサイルが発射された時は、行け!!とか思ってました。

川崎テツオ - 鈴木伸之さん

現在の時間軸で接点がなかった人。深夜のドンキホーテで黒ジャージを着ているような人たちの需要。
あいさつではなく殴り込みだった理由などなどは一切明かされません。トンカチつええ。
終結も「水かぶったら落ち着いた」というヤンキーのケンカみたいな理由で追われなくなりました。

あのトンカチは本物だったのかなぁ。手元が見えないアクションの時にも持ってたのかしら?ちょっとでも相手との呼吸がずれてたら大事故だよ。

向井昌子 - 筒井真理子さん

主人公です。

劇中で感情の振れ幅が一番大きい人。
彼女を中心に見ると楽しい映画です。筒井真理子さんも演じてて楽しかったろうなぁ。

ヤクザ二人組

市民ホールでの計画がザルすぎる。だが、それがいい。
それなりに話を引っ張ってきたのに、死に方が雑。でも納得できました。あれで納得できたのは物語の強弱がちゃんとあって面白かったってことなんだろうな。

jam - ネタバレ感想 ( 75/ 100 )

細かい積み重ねが見事でした。

怖い乱闘シーンやサイコな世界観を見て楽しむ映画だと思いますが、そうするための細やかな配慮がそこかしこに光ってました。
わかりやすいのは、ヒロシが拘束されている時に早めに「明日の市民ホールで歌うんだから!」と言ったところ。この地獄が一晩限定であることがわかり、サイコな世界を笑いながら見ることができました。

切り替えが遅れるとつまらないかもしれない。

昌子が主人公だと思ったのは、どこからだろう。拘束したタケルに上からものを言い始めたころかなぁ。
最終的にはそれがよかった。

昌子を中心に話を見ていくといくつかのことが気にならなくなります。

  • タケルの彼女の回復描写なし、事件の清算できてない
  • テツオのカチコミ理由とその結末が不自然
  • 雑な死に方というヤクザ二人の扱い

んで、昌子が中心ならテツオのシーンが映画としての意味を持ち始めます。

テツオのシーンが緊迫しかないからこそ、昌子のサイコな世界を笑いながら少し好意的な目線で見れたんですよ。
緊張と緩和。(前述した「この地獄が一晩である」もかなり大きい)
サイコな昌子が緩和の表現に見えたのは見事でした。

コンサート当日

物語でコンサートというと、ほとんどは舞台裏の暗躍があります。スポットライトの中で歌うヒロインを殺そうとする敵をヒーローが守るって感じですね。

そんな、多角面から見せるのがコンサートシーンの定石ですが、
オレはこんなに緊張感のあるコンサート描写を見たことがない。
後述しますが、関係者に「映画的なまっすぐな人」がいないんですよ。(唯一それっぽいタケルはコンサートとは直接には関係ない)
なので「この人の願った通りになってほしいな」がない。私としては定石のあるコンサートシーンで定石を外されてしまった状態です。どうなっちゃうのかドキドキしながら見てました。

すんげえギリギリを攻めてました。

攻めすぎるとエグザイルの活動をディスることになる絶妙なところを攻めてました。

ファンミーティング-1.思いを聞く

ファンが一人立って、ファン仲間とヒロシ本人に、ヒロシ愛を伝えるファンミーティング。
間違いなくヒロシにとってめんどくさい仕事を描写するシーンです。
ヒロシは何も言わずに司会進行をしてました。感想を言わず表情を変えず。

もし、楽屋に戻ったヒロシが「ンなこと知らねーよ」と言ったり「あーめんどくせー」とかいうわけにはいかなかったでしょう。形が違うとはいえ、エグザイルもファンに支えられて活動しているんですから。
でもギリを攻めました。「ヒロシは何も言わずに司会進行をしてました。感想を言わず表情を変えず」。義務感がすげえ。
楽屋に戻って言ったグチは、ファンではなく、あくまで昌子個人への愚痴となってました。いやあ、お見事でした。

ファンミーティングのシーンは若い方々が見ると、気持ち悪い世界に見えるでしょう。そういうふうに演出もしてあったし。
でもアラフォーの私からすると幸せな空間に見えました。肯定する気が100%の仲間の中で自分の心の内を吐露できる世界なんて、なかなか見つけられないよ。見つけられた彼女たちは幸せ者。

ファンミーティング-2.食い違う意見を収める

そんな彼女たちの一人の吐露に反論した昌子。
ファン同士の言い争いに発展しかけました。ヒロシとしては、どちらの味方をするわけにもいきません。真っ向から対立している意見のどちらかの意見を切り捨てるわけにもいきません。

まだまだ冒頭の本シーン、ヒロシどうするんだ、、、、。おさめ方によって私の本作に対する期待度が変わってくるぞ、、、、、

まさかのご飯論法でした。 

ご飯論法(2018年流行語大賞トップ10入賞語)

ヒロシはもう歌手をお金を得る手段としか考えてねえ!ファンを大事にするって感覚もなくなっちゃってる!
私が思い込んでいたエグザイルヒーロー映画とは違うのかなと思い始めました。

昌子の芸術観の先にあるもの

、、、、、てか、昌子に芸術観なんてないけどね。

「映画的なまっすぐな人」なら、ヒロシの世界観に心酔し、良い楽曲を作らせたいになるんですが。(態度が高圧であったにせよ)

でもファンミーティングであれほど順番をいじるなと言っていた「雨の馬喰横山」の次に自分のことを歌えって押し付けるのは、虚栄心がはっきりと見えますね。言い争っていたおばちゃんの悔しがる姿を思い描いていたことでしょう。

ヒロシも昌子も「映画的なまっすぐな人」ではないんですよ。そんなもの持ち合わせていないんです。それが楽曲つくりを滑稽に見せ、コンサートシーンにドキドキを加えさせました。

コンサートが始まる前に、「対立したババアが睨んでくるけど昌子は余裕でかわすシーン」が見たかったなぁ。勝ち誇った昌子のドヤ顔が見たかったよ

銃弾からかばわれたヒロシ

ヤクザ二人がホールに突入したときに昌子はヒロシのところに向かいました。守りたいと思ったのか、単に錯乱したのか。
銃弾からかばわれたヒロシ。逃げ出しました。

ただでさえ逃げ出したい状況なのに、「こいつは死んでもついてくる!」と思ったんだろうな(笑)

jam のクライマックスで発射される昌子ミサイル

冒頭で提示されたシーンに戻ってきました。
このころには本作を完全に信用していたので、これを踏まえてのもう一ひねりを期待しました。
ですが、そのまま終わっていきました。ちょっと残念。

jam のベストシーン

映画のキモ

銃弾から自分をかばった昌子を投げ捨てて逃げるヒロシ。
強盗・拳銃・昌子との約束を反故にした直後・目の前には昌子・撃たれた昌子・昌子の重み。
ノーミソのメモリあふれを起こして全てから逃げ出しました。生物としては正しい。

冗談

サイコな世界での昌子のバランス
お願いしたり、命令したり、讃えたり、ダメだししたり。目まぐるしい昌子が楽しかったです。ニッコニコしながら見てました。

他には、相乗りしたヤクザにヒロシとの関係を勘違いされて喜ぶ昌子。

きれい・かわいい・色っぽい

冒頭のファンミーティングのエキストラさんのどなたか。
パイプ椅子に座っているんですが、スカートのスリットから足が見えてました。(チラリズムに弱いんです)

 

jam の評判

2.91/5.0 (yahoo映画 2018/12/18)

満点じゃないけど、ほめるところもある。って感じ。

その他

私のこと

ファンミーティングでヒロシがもらっていた万札の首飾りは見たことあります。埼玉県のソニックシティで五木ひろしさんがもらってました。
一通り歌った五木ひろしさんがファンから万札の首飾りをもらったり万札がちりばめられた花束もらったり、受け取ったハンカチにキスして返したり。30分ぐらいやってたなぁ。
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お台場に勤めていたことがあります。そこでヒロシっぽいお兄ちゃんとファンっぽいおばちゃん十数人に出くわしたことがあります。ファンツアーだったのかな。
10m先にいるヒロシっぽいお兄ちゃんから声をかけられました。写真を撮ってほしかったみたいです。
つい「急いでいるので」と言って断ってしまいました、、、、、。

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監督:-SABUさん-

脚本:-SABUさん- 

俳優:-青柳翔さん-  -町田啓太さん-  -鈴木伸之さん-  -秋山真太郎さん-  -八木将康さん-  -小澤雄太さん-  -小野塚勇人さん-  -佐藤寛太さん-  -野替愁平さん-  -筒井真理子さん-